夫婦喧嘩の目的。妻は理解、モラハラ夫は支配
私たち夫婦の間にはよくケンカが勃発しました。
何度もなんども争ってきましたが、夫とまともにケンカができたことがありません。
ケンカをしているのに
ケンカができない
何だかなぞなぞのようですが
実際、私たちの夫婦喧嘩はお互いに言うことがまったく噛み合わず、延々と続く無理問答のようなやり取りに私はいつも心をかき乱されていました。
ケンカのように見えるけれど、これはケンカではありません。
それはどういうことなのか。
今回は、『夫婦喧嘩ができないモラハラ夫』の実態をおはなしいたします。
サイレントモラハラから不毛な争いへ
私たちが不毛な争いへ発展する流れはだいたい決まっていました。
- 私が夫の放つサイレントモラハラの異常な空気に対して不安・恐怖を抱いたり、夫のあまりに冷酷・非道な言動や態度によって傷つき、夫に悲しみや苦しみなどの素直な思いや疑問を伝えたとき
- 私が夫の思い通りに動かなかったとき
- 夫にとって不都合なことを突いてしまったとき
私は日々夫のサイレントモラハラに怯えながらも、夫と本当に心の通う夫婦になることを望んでおり、諦めず夫に声をかけ続けていました。
夫と分かり合いたい、理解し合いたい
私は最初から争いを望んでいるわけではなく、夫と穏やかに話し合うことを求め続けていました。
しかし夫は違いました。
「俺はケンカしたくない」
「こんな(ケンカが多い)のは嫌だ」
そう言いながら
頑なに自然な話し合いを拒絶し、強引な手段で妻の言葉や感情を抑圧して心を傷つけ壊してきました。
本来ならお互いに声を荒げて言い争う必要などまったく場面から、いつのまにか恐怖と絶望に陥れられることになりました。
夫婦喧嘩とはいえない夫の実態
〝モラハラ夫は夫婦喧嘩ができない〟
〝ケンカのようでケンカではない〟
これらはどういうことなのか。
言い争いの中の夫の言動や行動を挙げていきたいと思います。
黙る
サイレントモラハラの延長です。
私が何を言っても、まったく聞く耳を持ちません。
私をきつく睨みつけた後
腕を組み、怒りを帯びた口を固く結び、攻撃的で深く鋭いため息で、重く黒い空気を一気に充満させます。
さらに、そのきつい目を不自然にテレビに向け、私に対しての〝激しい抵抗〟を露骨に示します。
私に恐怖心を与えることで、言葉を封じようとしました。
逃げる
夫は無言が続かなくなってくると逃げました。
無言の夫に向かって、私は言葉を重ねます。
落ち着いて、丁寧に。
分かりやすく、ゆっくりと。
しかし、一生懸命話をした後で夫から返ってくる言葉は
「何言ってるかまったく分からない」
「俺、テレビ見てんだけど」
「俺の時間無駄にする気?」
「あなたの言うことは俺に価値がない」
夫は私の言葉にまったく触れようとせず、傷つけてはぐらかします。
私は、謝罪し
心が折れながらも再び夫に訴えます。
すると夫は怒りを露わにし、
「とにかく黙れ」
「ここは俺の家だけど、あなたがここにいるなら俺出て行くよ」
私は泣きながら夫を引き留めますが、夫は勤務している学校に逃げようとします。
「いいか。おまえが何か一言でも発したら出て行くからな」
夫は私の嫌がることをあえて突きつけました。
ちょっとでも言葉を発すると、夫は恐ろしい怒声を飛ばしながら力ずくで私を突き放し、出て行こうとしました。
歪める
夫は、明らかな嘘をつき、揚げ足とり、話のすり替えをくり返すことで事実を歪め、私を攻撃しました。
「あなたがいつも俺に喧嘩を売ってくる」
「言い方がやだ。ちゃんと謝って」
「じゃあさ、あなたの〇〇はどうなの」
「その根拠は?ちゃんと調べて」
私は夫の言うことに流されないようひとつひとつ訂正や説明・謝罪を返し、話を逸らされないように必死について行きました。
すると夫は語気を荒げ、恐ろしい形相を浮かべながら
「あなたは頭がおかしい」
「外で働いてないあなたに言われたくない」
「あなたがそんなだから子どもができない」
仕事や子どものことなど、私の立場的な弱点や心の傷をあえて引っ張り出し、ひどい言動で心を刺激しました。
私を黙らせるためなら、話の筋とはまったく関係のないことや屁理屈を平然と並べ立て、どんなに冷酷・非道なことでもまったく躊躇せず堂々とぶつけてきました。
キレる
私が夫と向き合いたいと思う心が強くなるに比例して、夫は訳の分からない怒りを増幅させました。
血走った目を大きくひん剥き、
般若のような恐ろしい形相で
ものすごく柄の悪い言葉を何度も連呼。
私は恐怖のあまり、いつも泣きじゃくっていました。
少しでも言葉を発すると
体の大きい夫が上から私を覆うように威圧的な怒声を浴びせてきました。
夫をなだめようと体に触れると
私の手を乱暴に払い除け、汚い言葉を吐きました。
私が心身ボロボロになると
「俺が悪いって言うのかよ。あぁ?」
「どうなんだよ。俺悪くないよね」
夫は、畳みかけてきました。
「イチオは悪くないです」
と、私が泣きながら返すと
「俺は悪くないんだな。じゃあ謝れよ」
「俺を傷つけやがって」
ここで何か言おうとすると、すぐに
「おい!謝る気あんのかないのかはっきりしろよ」
と怒鳴られました。
とどめをさす
私が必死に言葉を重ね、夫に前向きなメッセージを伝えようとしても、夫は絶対に受け入れようとしてくれませんでした。
「おまえごときに言われたくない」
「俺は変われない」
「俺がこんなにやってやってるのに文句言うとか何様?」
「おまえが変われないなら無理」
ここで私が完全降伏し謝罪できないと、夫は〝離婚〟の2文字を出しました。
「もうあなたとはやっていけない」
「もう無理。離婚するしかないよ」
私は夫からの〝離婚宣告〟を心から恐れていました。
夫はことあるごとに〝離婚〟を突きつけ、私を恐怖と不安に陥れました。
妻の失態を促して攻撃する
夫は恐怖を与えたり、
理不尽な状況を突きつけることで
私の心にひどい混乱や動揺をもたらしました。
夫の言動や行動は常軌を逸しており、私はどうしようもないほどに心をかき乱され、たびたびパンクしました。
感情があふれて泣きじゃくり、怒鳴り、物に当たり、夫を叩いたりしました。
そして、夫は
そうした私の失態をすかさず攻撃しました。
「うわぁ、あり得ないわ」
「おかしいんじゃないの」
「暴力だ!」
私の感情的衝動的な反発行為に対し、自分をコントロールできないダメな人間性を罵られ、私は夫から非難される悲しみと突き放される不安と恐怖、罪悪感でいっぱいになり、夫に必死に許しを請いました。
後に暴力相談で
夫の言動や行動に対して衝動的に暴発してしまう〝自分の非〟を思いきって告白した時、
- そうやって、私の感情を追い詰めて冷静さを失ったところをわざと攻撃するのは、モラハラの手口のひとつであること
- 夫の攻撃に対して私が起こした反応や行動は、心が正常に働いていたということ
- 自分が示した普通じゃない感情や行動に対し、それを自分で普通じゃないと自覚し反省できるのだから、おかしいのは私の人間性ではないこと
- 夫のしていることは、私の良い部分をあえて利用して追い詰めている卑劣な行為であること
これらのようなことを相談員さんから言われました。
もし、暴力相談に行っていなかったら
私はずっと、夫の言動・行動に疑問を抱きつつも攻撃の波に飲まれて自分を責め続け〝私が変わらなければ〟と追い込んでいたと思います。
夫婦喧嘩すらできない悲しい夫婦
このように、いつも夫のなりふり構わない攻撃をされていたため、まともな夫婦喧嘩すらできませんでした。
思い通りにならなければ無視
面白くないことは遮断
事実を歪め、揚げ足を取り、徹底的に相手を貶める。
夫がまともに向かい合ってくれないこと自体とても悲しいことですが、さらに私を奈落の底に突き落とすような言動や行動をくり返されるのは本当に苦しく、虚無感に襲われ、自分の存在意義を激しく損なうような場面も何度もありました。
物事の筋など関係ない
妻の心などどうでもいい
夫婦喧嘩でお互いがぶつかるにしても相手の意見を聞いたり、それを思考したりするというような作業がありますが、夫は相手の言うこと為すことすべてを蔑ろにし、自身の心も頭も一切使うことなく強引に私を黙らせようとしました。
心を持った人として生まれたはずの夫がここまで私の存在をぞんざいに扱うのは、私を人として一個人として尊重する心がなかったからだと思います。
私と夫の間には人として〝対等〟というものがありませんでした。
その直視し難い事実は、またさらに私の心に絶望をもたらしました。
夫の目的は『支配』
モラハラ夫は、日々
自分の身を守り
自分が優位に立つこと
これらに異常に執着し、自身の歪んだ欲求を満たすために捌け口となる人を酷使します。
「ケンカはしたくない」
そう言うのは本音だと思います。
しかし、夫の根底にある思いは
普通の人が望む夫婦円満とか安穏ではなく、何もなくても自分の思い通りに相手への支配が許されかなうこと。
なので、私が夫のモラハラな言動・態度に対して疑問や反発心を抱いて夫に発信することは、夫にとっては厄介で面倒。
わざわざ夫婦喧嘩という形で〝妻を潰す〟手間を嫌っていたのだと思います。
夫婦を繋ぎたい
ふたりで明るく前を向いて歩きたい
私もできれば夫婦喧嘩なんてしたくない。
でも、黙っていたら心が腐ってしまう。
私は、夫とのより良い関係を求めて必死に声にしてきましたが、夫にとってはただただうるさい雑音。
そして、
夫婦喧嘩の目的はお互いのためではなく
『より強固に妻を支配するため』
私は夫婦の心の理解と親和のため
夫は妻の支配と欲求の充足のため
モラハラ夫にはまともな夫婦喧嘩ができない
それは、
モラハラ夫にとって妻は支配の対象であり対等ではないため、まともに向き合うことができないこと。
そして、それゆえ
夫婦喧嘩の先に求めるものがあまりにも自己本位であり、どれだけぶつかっても本当に夫婦にとってより良い答えを導くことは到底不可能ということです。
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