すべてはあなたのせい。抑圧と支配で責任転嫁するモラハラ夫
心をえぐるような夫のモラハラに遭っていた私ですが、いつもそれを黙って受け入れているわけではありませんでした。
なぜ機嫌が悪いのか
なぜ話を聞かないのか
なぜ威圧的な態度を取るのか
夫の醸し出す黒くて重くて鋭いもの
それらが私に向けられていることは事実であり、
私の妻としての資質への不満や夫婦関係の継続に支障があると思わせる夫の態度を放っておくことは良くないことだと思っていたからです。
勇気と勢いをかき集めて深呼吸
慎重に夫の顔色を伺いながら声をかける場合、
そして
夫のあまりにひどい言動・態度に刺激され
耐え切れずそのまま感情を吐き出す場合とがありました。
いずれの場合も私にとっては心の危機的状況であり、夫への必死で大事なメッセージ。
しかし、それらはことごとく粗末に乱暴にはたき落とされ、この後は大抵、夫の激しいモラハラによって目に見えない無数の傷を負うことになりました。
以前『まともな夫婦喧嘩ができないモラハラ夫~妻を陥れる夫の常套手段』というおはなしでも書きましたが、夫はまさに地獄絵図のような惨い空気に引きずり込んで私を抑圧・支配していきました。
何度も惨状を呈する不毛なやり取りで傷を深めてきましたが、私たちはその都度ケンカに一応の区切りをつけて夫婦生活を続けてきました。
では、どのように区切りをつけているのか?
その過程を振り返ると、そこにはやはりモラハラ夫の強い力が働いていたことが分かります。
今回は、そんな私たちの理不尽で不平等な『ケンカの後始末』についておはなししたいと思います。
夫婦で異なるケンカの着地点への認識
なぜまともな夫婦喧嘩ができないのか・・・
それは、私と夫とでは
〝ケンカの目的〟
〝ケンカの先に求めていること〟
これらがまったく違うからです。
私が求めているのは
お互いの共感・受容・理解
問題の明確化と解決
安心と信頼の構築
どうしてもケンカという形を避けられない状況で訴えなければならず、心を揺さぶられたり感情をかき乱されながらの主張はなかなかうまくいきませんが、私が求めているのは簡単に言えば〝夫の真心〟や〝夫婦関係の改善〟です。
とにかく不安や恐怖・緊張をもたらす夫が
〝何を考えているのか分からない〟
〝心がどこにあるのか読めない〟
ということが日々本当にしんどかったため
夫のモラハラ行為を動機づけるものを明らかにし、私に問題があるならそれにきちんと向かい合いたかったのです。
私の気もちを知ってほしい、という自分本位な主張をぶつけてしまったりしたことも否定できませんが、いずれにしても夫婦共にしあわせでいたいという思いがありました。
対して夫が求めているのは
自分の歪んだ欲求を満たすこと
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とにかく上に立ちたい
何が何でも勝ちたい
自身の中に潜む強い劣等感やねじ曲がったプライドに突き動かされた夫には事実も正義も関係ありません。
ただ俺を守り、俺を満たすことに執心しているのです。
嘘で事実を歪める
矛盾を強引に踏み倒す
都合の悪いことは排除する
妻の心がどうあろうと、夫婦としての繋がりにほころびが生じようと夫には関係ないこと。
妻の謝罪と
自分さえ気持ちいい環境・状況が戻ればいい
それが夫にとってのケンカの着地点でした。
絶望にのまれた妻が夫に献上するケンカの後始末
ケンカの終わりはいつもだいたい同じようなものでした。
夫の容赦ない凄絶なモラハラに感情をズタズタに引き裂かれた私は泣いたり声をあげたり、本当に醜かったです。
自分が自分でいるのが罪である
私は生きている価値がない
ここまで追い込まれることも多くありました。
「俺は100%悪くない」
「あなたが変われないなら無理」
「じゃあもう離婚だよ。別れて」
「文句あんなら実家帰れよ」
人格否定しながら責任転嫁していく夫
夫の言動や態度への反発心が息をしていても
心が原型をとどめない程に破壊されている私は夫の脅しをかわせずに絶望し、そのまま一気に自責の念にのまれていきました。
謝罪
ひたすら謝罪
強要されて土下座もしました。
何度もしてきました。
翌日まで夫の怒りが収まらず
荒々しい物音やどす黒い表情、心臓に穴が開きそうな目つきで恐怖を振り撒いて出勤していくことも多々ありました。
夫の残していった重い空気
夫の残像
離婚。
価値がない私が捨てられる不安と恐怖が押し寄せ、しばらく起き上がることができませんでした。
私は何時間も夫へ送るメールの内容を考えました。
夫を前にすると怖くて最後まで話せないと分かっていたのと、メールならじっくり私の言葉を感じてくれるのではないか、と思っていました。
※悲しい期待で終わりました(泣)
不快にさせてしまったことへの謝罪
人として駄目な自身の反省点
夫にふさわしい妻になる誓い
〝夫は何も悪くない。私が良き妻になるために生まれ変わるつもりで努力する〟
ポーズでもなんでもなく
私は毎回本気で夫にこのようなメッセージを送り、夫の審判を待ちながら夕飯の準備に取り掛かりました。
今夜、夫は帰ってきてくれるだろうか
私の謝罪を受け入れてくれるだろうか
私をまだ妻として置いてくれるだろうか
夫が帰宅すると、私は不安を追いやって明るく迎えました。
ドアを開ける夫の表情は黒く重く硬い。
おそらく私がどういう態度で迎えるかを窺っていたのだと思います。
夫はとにかく自分が優位でいなければならないので、私が本当に改心しているのかを窺い、それが夫の中で確認できて初めて自身の威圧の鎧を脱ぎます。
それまでは険しい表情と重苦しい空気を纏ったまま。
不機嫌そうにスーツを脱ぐ姿
重く荒い足音
深く鋭い溜息
私を横切る時の速度や角度
私のあらゆる感覚が夫の一挙手一投足によって異常に覚醒しては恐怖に委縮して死んでいくのを感じました。
動悸が激しくて苦しいし
心も潰れて痛い
でも、夫に送ったメッセージが嘘だと思われたくない。
私は自身が生まれ変わるつもりで夫に尽くすのだ。
尽くさなければ、私には価値がない。
そう言い聞かせながら、
仕事で疲れた夫
私のせいで心を傷めた夫のために
明るく明るく夕飯の仕上げに没頭しました。
夫が敷く後始末への卑劣なレール
夫婦の問題や込み入った話題など、私が夫と意見や心をかわしたいと思って送るメールに返事が来ることは殆どありません。
返ってくるとしたら
〝今日急に飲みに行くことになった〟
私が夫と向き合いたいと思う気もちを察知するとあからさまに予定を入れる。
同じような場面で同じような避け方を何度もされてきたので、さすがに確信しました。
問題は放置すればいい。
なぜなら、妻がどうにかすればいいことだから。
問題の核を掘り返さず、ただただ謝罪だけなら喜んで受け入れてくれました。
「分かればいいんだよ」
「俺は最初から何とも思ってないから」
「俺も言いすぎた」
あれだけ人として否定されて、役に立たなくて捨てられると絶望したあとで夫から優しい言葉をかけられると、安堵とともにものすごく申し訳ない気もちになりました。
でも、よく考えると
このような優しい言葉の中には
悪いお前
許してやってる素晴らしい俺
やはり、私にすべてケンカの責任を押し付けている構図があることに気づきました。
夫に心を握られ振り回されている間、
私は〝こんないい人を傷つけたんだ〟〝こんな私をまた受け入れてくれた〟という罪悪感や感謝からさらに夫への忠誠を深めてしまうのでした。
俺は悪くない
すべてあなたのせい
夫はケンカの根本、問題の本質に誠実に向き合うことが一切ありませんでした。
代わりに、私の心を傷つけ壊すような抑圧と支配でケンカのすべての責任とその後始末を強引に私に背負わせました。
恐怖を与え、絶望を与え
罪悪感を植えつけて・・
今、冷静に振り返れば夫の卑劣さがはっきり分かりますが、あの頃は何か夫に意を唱える正常な感情が生まれても、この〝恐怖・絶望・罪悪感〟を刺激する絶え間ない夫の言動や態度から逃れられませんでした。
夫の言動や態度に対して私の心が危険や恐怖・違和感を感じ取り、それを何かしら夫に向けて発信した時点で、私から夫への〝謝罪〟は決められてしまっているのです。
再び前を向くには
これからも生きるには
理不尽なケンカの後始末であっても、夫に与えられたものはすべて受け入れるしかありませんでした。
そもそも夫のモラハラへの困惑や不安を解消しようとするのが始まりですが、結局最後はさらなるモラハラによって心に傷を増やすということのくり返し。
夫と分かり合いたい
夫を知りたい
私の思いを知ってほしい
ただふたりの関係を良くしていきたいという思いが詰まった言葉であっても、それが夫の歪んだ欲求を邪魔するものだとみなされてしまったらそれはただのクズです。
夫の身勝手なケンカの火
妻の心を燃やし尽くす暴力の火
そのクズは夫のモラハラの火種を大きく激しく炎上させるために葬られてしまうのでした。