妻、やめます。

モラハラ夫と過ごした日々の回想録

モラハラ夫との奇妙なコミュニケーション

コミュニケーション不全の末路


いちばん身近なひとなのに
最もコミュニケーションが困難だった夫。

形は夫婦であっても
いつまでたっても夫婦らしい心の営みは深められませんでした。

夫への恐れや不安に苛まれ続け、私はいつのまにか独自のコミュニケーション法が習慣になってしまっていました。

今回は、
我が家では当たり前となってしまった奇妙なコミュニケーションの形をご紹介していこうと思います。

不自由なコミュニケーション

 
夫はゲームや食べ物、テレビなど、夫にとってストレスフリーな内容の話なら聞いてくれるのですが、少しでも真面目な話・事務的なことなど、夫婦に必要な内容でも夫にとって面倒・つまらないと判定された内容は受け付けてもらえませんでした。


瞬時に顔が曇り、
威圧的な「なに?」を飛ばしてきます。

もしくは、

不機嫌を顔に張りつけたまま完全無視。



頑張って話を進めようとすると


「それ、今話さなきゃいけないことなの?」

「俺さぁ、一日働いて疲れてるんだよね。そういうの察することとかできないの?」

「その話いつ終わるの?」


などと取り付く島もないのです。



夫にとって

私の話はどうでもいいこと。




私は、夫が全身で醸し出す嫌な空気に心が委縮してしまい、最後まで話終えることができなくなってしまいました。


ひどい時は恐怖に耐えきれず、話しながら涙が出てきてしまったり


上手くまとめて話そうとしても、緊張や焦りでかえって言葉に詰まったり文脈がおかしくなり、夫から見下すような冷たい視線を向けられることも何度もありました。

追い詰められた妻の悲しい窮策


私はどんなに夫からひどいモラハラを受けても、いつかは夫と気持ちよく言葉を交わし、心を通わせることを信じて何度も心を立て直してきました。


でも、心の傷跡が増えるばかり。

本来の健康な心が戻ってくるわけではありません。


夫とコミュニケーションがとりたい

けど、

自分の心が壊れるのもつらい

 


そんなふたつの心に板挟みになった私は、夫をなるべく怒らせたり不愉快にしないように奇妙なコミュニケーションをとるようになっていました。


①あえてメールを使う

夫にどうしても何かをお願いしなくてはならない時は特に、メールを使うことが多かったです。

例えば、毎月お給料日がきたら生活費とその他に自腹で立て替えておいた費用を付箋に書き出し、それを写メしたものをメールで送っていました。

夫はお金の話に露骨に嫌な顔をしたり、怖い顔をするからです。

普通に生活費をお願いするだけでも胃が痛いのですが、さらにお給料日から何日も忘れられていることも度々あったので、改めて声を掛けなければなりませんでした。

f:id:nanairo-r:20190811014818j:plain
f:id:nanairo-r:20190811014909j:plain
生活費メモ 実物 

↑下手なイラストですが(笑)

生活させていただけることに心から感謝していることを素直に伝えたいのと、シビアな話題を少しでも柔らかくしたくて書くようになりました。


直接言えれば一瞬で終わる会話でも、夫の不機嫌な空気に触れるのが怖くてメールを使っていました。


私のメールの言葉に対しても、夫からろくに返事をもらえないので無視には違いないのですが、目の前で怖い思いをするよりも安全なので、メールに逃げていました。


また、夫は平然と嘘をつくので

後から言った、言わないの水掛け論も多かったです。


その対策のために、あらかじめメールに残すという目的もありました。

 

②夫の気分の晴れ待ち

折り入って話したいことがある時は、夫の様子をつぶさに観察しました。


夫が機嫌よく帰宅することは殆どないので、

〝まだ、マシ〟という時を待ちます。


私は頻繁に夫の勤務する学校のHPで行事予定をチェックしていました。

予定によっては夫が精神的に追い詰められてるな、とか、機嫌が悪そうだな、などが分かることもあるからです。


もし機嫌が悪くなさそうであっても、夫がゲームやテレビでくつろぎ始めたらアウトです。それから話そうとすると、


「今、俺の時間だよねぇ」

「あなたと違って俺は昼間働いてんの」


などと嫌味からはじまり〝ダメな妻〟というレッテルを貼られ、ひどく心を潰される結果になるからです。


夫と話したいときに好きに話しかけることができない。

〝明日にしよう〟

〝また話せなかった〟

話すことを先延ばしにすることが何度も何度もありました。


夫に話さなきゃならない用事ができると、そこから緊張しながら心の準備をし、夫の顔色を窺わなければならず、とても苦痛でした。

 

③ひとりキャッチボール

話しかけても、思いっきり無視されるのも日常よくあることでした。


私「今日〇〇なことがあったよ」

夫「・・・」

私「うん。そうそう。まぁそんな感じ。それだけ」

夫「・・・」


夫が相槌ひとつ打ってくれない上にその無言の空気が威圧的で怖いので、自分で自分の話を強引に締めてしまいます。


悲しすぎて「聞いてる?」と言ってしまうこともあるのですが、ここから必ず夫から恐怖で追い込まれることになるので、後悔することが多かったです。



また、けんかの後などで

夫に謝罪や真剣に伝えたいことをメールしたとき、本当は夫から私の言葉に対する感想や意見が欲しいのですが、夫は何も言ってくれません。


私「メール読んでくれた?」

夫「何が?」

私「メール送ったんだけど、、」

夫「あぁ」

私「あの、、何か思うこととかある?」

夫「別に。返事しろとか書いて無かったよね。何?俺に謝ったんじゃないの?まだ何か言うつもり?」


この時の夫は本当に恐ろしいので、


私「あの、昨日は本当にごめんなさい。ウチに帰って来てくれてありがとう」


とひたすら謝って話題を回収し、違う話に逸らします。


けんかの後は、とにかく私は心が弱く委縮しており、夫に許されるかどうかの不安で追い詰められていました。

夫を刺激しないように、自身の謝罪と将来への思い、誓いを綴った後、「もうこの後この話は一切しないので、安心して帰って来てください」と書いて予防線を張ってしまうことも多かったです。

④ピエロになる

夫が何故だか分からないけど、不機嫌で怒っている様子。

普通に話しかけるのも怖い、でもこのまま夫婦の空気が悪いままなのも不安でつらい、というとき


私は

バカになります。


夫は、私がバカだと喜んでくれるからです。


書いていて情けなくなりますが、私は真剣でした。


唐突に

おかしなダンスを踊ってみたり

変な創作ソングを口ずさんでみたり

バカっぽい話し方をしたり


夫の見えない求めに応じて、おバカなピエロになりきりました。


私はもともと陽気な方なので、楽しいきもちで自然体でそうできるのならよいのですが、夫への恐怖や不安、緊張からむりやりなりきるというのは惨めでした。



そもそも夫は
私が
妻として、人生のパートナーとして


〝しっかりしている〟


〝社会的な賢さを持つ〟


という要素を少しでも出すと、プラスに受け止めてもらえないどころか、夫のプライドを傷つける【悪】とみなされていたようです。


夫は私と結婚したのではなく、

身近で手軽に見下すことのできる存在

自分が優越感に浸れる空間


を手に入れたかっただけなんだろうな、と思います。

 

⑤人をやめる

先ほどの〝ピエロになる〟に通じるものがあるのですが、夫に普通に話しかけてもまともに相手にされなかったり、無視されたりなので、重くて胸を締め付けられるような空気を打破したいときは


人の言葉を捨てました。


どういうことかと申しますと、まともな言葉で話しかけません。


〝ワンっ〟

〝にゃあ〟

〝シュッ〟

〝ドーン!〟


などと言いながら、

夫に触れてみたり、軽く体当たりしてみたりするのです。


〝バカ〟な私なので、
夫は怖い顔をせず、受け入れてくれます。


夫が機嫌が良い時は、私が台所仕事などをしていると


「集合!!」


と号令がかかり、
私はすぐに肘を90度にして夫の元に向かいます。


ちゃんとできると褒めてもらえます。


「解散!!」

と言われたらまた台所へ。


そしてまたすぐに「集合!!」の号令、、

というのを何度も繰り返し、
私が笑顔で従順にしているかぎり、夫はとても笑顔で満足そうな表情でした。


最初は特に何とも思っていませんでしたが、夫の性質が分かるにつれて、

主人と奴隷の関係

のように感じてしまい、複雑な気持ちになりました。


しかし、
夫は少しでも私が従順でない態度をみせると、すぐに不機嫌になって取り返しがつかなくなるので、やめるわけにいきませんでした。

続けていれば、一見平和な時間なのです。
 


夫との間では、この〝奇妙なコミュニケーション〟が基本でした。


友人・知人、実家の家族とのコミュニケーションは、普通に言葉を交わし、人らしい感情の交流があったため、夫とのこの状態が〝おかしい〟という価値観はずっと持ち続けていました。


いつかは変わりたい。
普通にしたい。


と思いながらも、
日頃は夫への緊張や恐怖が先立ってしまいました。


家庭の平和を守る

夫を幸せにする

自身を守る


そのためには

あらゆる障害に対し、

私が水のように形を変えたり、流されたりするのが最善だと思っていました。

 

nanairo-r.hatenablog.com