妻、やめます。

モラハラ夫と過ごした日々の回想録

モラハラ夫を育んだ親の正体①〜私が見た親子間モラハラの実態

親子の間に流れる不自然な空気、不透明な愛情


モラハラ加害者を生み出す主な原因は


【家庭環境】【親】


これらが大きく影響を及ぼしていると考えられているという記述が多くみられます。


私も夫の親や家庭環境を冷静に振り返ると、それは確かなように思います。

 

今回は、私から見たモラハラ夫と親の関係とそこにあった違和感、感じた歪みについておはなしいたします。

夫と親、その実態とそこにあった違和感


おつきあいしていた頃、
夫から伝えられる家族の話から私が抱いた印象は


〝仲良しでにぎやかな家庭〟

〝家族の絆が強い家庭〟


このような、とても明るくまぶしいものでした。


「うちはちゃんとした良い家族だから」


夫がそう言っていたのを今でも覚えています。


しかし
おつきあいを深め結婚し、


夫の両親の姿
夫と両親の間に流れる空気


これらに直接自身の感覚で触れると
何とも言えない違和感や疑問などが心を覆いました。


その中から、印象的だったことを少し紹介いたします。

共感ができない親

夫からプロポーズされた後、
夫の実家へ結婚の許しをいただきに行きました。

両親を前に、夫の言葉に続いてふたりで深く頭を下げました。


その後、私たちに向けられた言葉は〝将来、夫の実家で同居することに同意できるかどうか〟の確認だけでした。


〝おめでとう〟も〝よろしくね〟もなし


父親はすぐに部屋を後にし
残された母親は無言でした。


それから

入籍前の両家顔合わせ
結婚式前の準備
結婚式前日の会食
結婚式当日


何度か顔を合わせ
同じ時間を過ごす機会はありましたが、

最後まで夫の両親から祝福の言葉はありませんでした。



強く記憶に残るのは

押し黙り、仏頂面で固まったご両親



想像しがたいと思われますが
思い過ごしでも気のせいでもなく、明らかな事実です。


母親は常に〝不快〟〝拒絶〟の表情を浮かべ、言葉は〝面倒〟〝憂鬱〟を帯びていました。

父親はまるでお面を被っているかのように表情がなく、さらに、息子との会話はごくわずか、かける言葉はあまりに事務的機械的で情というものが欠落しているように見えました。

 


結婚式に際し、夫が最も心を尽くしたのは自分の親や親戚へのおもてなしでしたが、肝心の両親の反応は残念ながら夫の思いと重なることがありませんでした。 



新しい人生の門出、晴れの日に

息子の足を引っ張り、異質で非常識ととれるような振る舞いだった夫の両親。


息子の前向きな心に共感することなく、あえて傷つけるような両親の姿が理解できませんでした。


ぎこちない会話の親子

夫と両親の会話には、家族・親子の親しみがあまり感じられませんでした。

 

まず気になったのは

夫が両親に話しかけるとき、ものすごく緊張しているように見えることでした。


遠慮がちで弱々しい声

くすんだ表情

両親の顔色を窺うような素振りもみられました。


父親との会話はものすごく他人行儀であり、

母親とはまだ少しは親子らしい様子が感じられましたが、どちらかというと母親が一方的に話し、息子は「うん」とか「そうなんだ」とぼそぼそと答えるのみでした。


車の中、食事の席、団欒の部屋・・・

どこにいても親子の会話が弾むことはありません。


交わらない視線

心の見えない表情

温度の感じられない言葉


帰省の際は大抵にぎやかな親戚や盆暮れ正月の慌ただしさに紛れて目立ちませんが、たまに親子が揃ったときの無言の重たい空気は不自然で異様に感じられました。

 

息子に関心がない親

とある春。

初めて担任として卒業生を送り出し、
夫は達成感と充実感を得ていました。


真新しい卒業アルバム
夫の豪快なタッチの似顔絵が表紙につけられた生徒からのメッセージ


私もとても感激し

〝次の帰省の時にみんなに見せよう!〟

と、2人で盛り上がり
重いしかさばるけれど、頑張ってトランクに詰めて持っていきました。


夫は控えめにはしゃいだ様子で母親や祖母に見せましたが、2人はあまり興味を示さずパラパラっと流し見るだけでした。


私の加勢もむなしく、
夫を照らすスポットライトはあっという間に消えてしまいました。


新婚旅行の思い出話もお土産も、同じ。

息子の教師としての奮闘や誇らしいエピソードも、同じ。


離れて暮らす息子との久々の再会。

しかも、

親はあんなに息子が実家に戻ることを望み待ちわびている様子なのに、息子の生活や仕事などに純粋な関心を寄せる姿を殆ど見たことがありませんでした。

 

息子の主体性を阻む親

「来年はこっちに帰ってくるんでしょうね」

「いつになったら来てくれるの」

いずれ夫の実家での同居を義務づけられていた私たち。


特に夫の母親は、
帰省の度にきつく夫に詰め寄りました。

息子の考えや事情には一切触れようとせず、ただ一方的に家と自分の都合を押しつけようとしていました。


結婚前に私が妊娠した時もそうです。

夫は一度は「産もう!」と決意してくれましたが、夫の両親の問答無用の中絶の強要によって産ませてもらえませんでした。

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息子の進路希望や人生設計

それら一つ一つの選択が本人にとって前向きで健全なものであったとしても

「無駄だ」

「しょうもない」

「裏切者」

そう言って息子を否定し、


世間体

家の都合
親の価値観


これらを突きつけて
息子の意思・主体性を阻んできたようです。

親に過剰な奉仕をする息子

なにかと〝俺の金〟という言葉で私を追い込んできた夫。

夫婦の最低限の生活や貯金・保険への出費に難色を示して出し渋ったり、「金がない」「金がほしい」とお金の主導権のない私に八つ当たりすることもよくありました。


ところが、なぜか

まとまったお金を「親にあげる」と言い出すことが何回かありました。


そのお金は私たちの生活や備えとして必要なものであり、自らお金がないと言っていてなぜご両親にお金をあげようとするのか理解できませんでした。

※ちなみに、何度か母親が私の前で「お金がない」というようなことを言うこともありましたが、夫の実家は生活に困るような経済状況ではなかったと思います。



そして、
夫の奉仕はお金などの物質的なものだけではありません。

 

親には絶対服従。

正しいことや正しい人を歪め裏切ってでも、親を庇い親に従いました。

少しでも親に意見することを嫌い
自分を失くしてでも心の奉仕を続けました。

外からは立派な孝行息子とみなされると思いますが、その裏では真逆の人格で妻へのモラハラをくり返していたため、夫の両方の顔を知る私はとても複雑な心境でした。

 

息子を管理する親

夫のお金はずっと親が管理してきたようです。

30歳を過ぎた大人が自分名義で契約されているものについて、自分の口座から定期的に引き落とされているお金について、まったく無自覚だったことに驚きました。


自分名義の生命保険

自分名義の定額預金

自分名義の株


ゴミのように放置されていた紙切れにしか手がかりはありません。

契約内容を調べようとしても、大事な書類はすべて夫の実家の住所で届けられていたことが分かりました。


たまにご実家から送っていただくお米や野菜の段ボールに夫宛ての郵便物が同封されてくることもありましたが、

 

かなり前に送られてきたものらしく、既に事後報告だったり、もはやまったく無用の活字と数字の羅列と化していたり、

 

また、帰省の際に両親から郵便物を直接受け取ることができても、それを利用する有効期限が切れていたりしました。

 

そもそも親が夫宛ての書類を開けている時点でかなりの疑問でした。


夫に住所変更の提案をしたこともありましたが、その度に冷たく威圧的な視線を向けられ、私がものすごく夫の両親に対して失礼で非常識であるというようなことを言われ、一蹴されました。


〝俺の金は実家の金だから〟

 

というようなことを言われたこともあります。

 

夫は結婚して家庭をもったにも拘らず実家の息子という立場に固執し、親の管理からの自立を拒み、親もそれを促そうとしませんでした。


そして

親の管理はお金だけではありませんでした。


夫が身につける服や下着
家具、食器、生活用品など、

生活する上で必要なものは殆ど親が揃えたものだったようです。

 

夫は何も考えず、ただ与えられたものを端から消耗するという生活。

 

出会った頃、夫の持ち物がどれもその物の機能を果たさないくらいボロボロなことに驚きました。

 

物を大事にしている人
と好意的に思う一方でなんとなく気がかりでもありました。

 

後から分かったことですが、夫は


自分で必要な物を考える

自分一人で買い物をする

物事にじっくり向き合い判断する


などのようなことに抵抗があり、困難なようでした。


おそらく、
親が息子を管理してきたため、

息子は与えられたもの・指示されたことに依存し、自発的に思考・判断する力が養われなかったのではないか

と思います。

親の前では〝無〟の息子


ここまでいくつか私が違和感を抱いた夫親子の姿をご紹介しました。


私が夫の立場だったら、
と考えると夫の様子はやはり何かがおかしいと思うのです。


それは、

夫が両親の前ではまったくの〝無〟であることです。

 

何も言わない

何も抵抗しない


親から理不尽に責められたり冷たくされても、一切反発せずに全部吸収してしまうのです。


両親の前ではいつもおとなしく、静かな夫。

言いたいことは言わない
思っても思っていないふり

感情を表に出すことはありません。


私は何度か夫親子に抱いた疑問をぶつけてみたことがありますが、答えはいつも同じ。

 

「田舎の人だから(不器用なんだ)」

「俺は普通だと思うけど」

「俺の親は悪くない」

「じゃあ、あなたの親はどうなの?」

 

夫はそれ以上何も言わせないような鋭い目で睨みつけ、威圧と凄みを利かせた口調で私を封じようとしました。

 

夫もおそらくモラハラ被害者


夫の両親は気性が激しいわけではなく、暴力的でもありません。


祖父母と両親と子どもたち

外から見たら
円満で裕福で恵まれた家庭だと思います。


しかし、その家庭の内側は

〝理想の素晴らしい家〟というイメージに縛られながら、みんなが微妙なバランスを保って生活しているという印象でした。


おそらく

夫も親からのモラハラ被害者だと思います。



親にとって息子は

家を守る長男・跡継ぎ
親を守る道具

なくてはならない存在であることは確かです。


しかし、

親子を繋ぐのは〈真の愛情〉ではないように思います。


家と親への絶対的な忠誠心を植えつけ

条件付きの愛情をちらつかせ


支配・洗脳という見えない暴力によって


自立
自我
成長

これらを傷つけ、息子の人格を奪ってきたのだと思います。


そして息子は

親の望みを本物の愛情と捉え、自分を守るためにその役割に必死にしがみき、身を削って奉仕してきたのではないかと思います。



上記に挙げた例だけではなかなか夫親子の中にある歪みがうまく伝わらないかもしれません。

なぜなら、どこの親子にも少なからずあるような話にも思われるからです。


しかし、夫親子の場合は

典型的な毒親育ちの私から見ても、そのやりとりの空気や親子の事実の中には過剰な違和感や不自然さが感じ取れ、ひどく動揺しました。

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次からはさらに、
父親と母親それぞれと息子の関係性について掘り下げていきます。

父親と母親で異なる息子との距離や関わり方を挙げながら、モラハラ夫を育む親について考察を重ねていきたいと思います。