妻、やめます。

モラハラ夫と過ごした日々の回想録

義親の偏見と誤解~後になって知った顔合わせエピソード

お金と肩書。義親の偏見と誤解がもたらした深い傷


前回、『両家顔合わせで見た地獄』でひどい空気に見舞われた両家顔合わせのエピソードをおはなしいたしました。


両家お互いに慣れない状況の中なので不安や緊張によってコミュニケーションがうまくいかないことはあるかと思われますが、夫のご両親の言葉や態度からは明らかに私たちへの強い嫌悪がが感じられ、また、夫の傍観者に徹する冷たい姿にも大きな衝撃を受けて不安と困惑に陥りました。

 

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このとき実は、

私が知らないところでも私の両親それぞれが動揺し理解に苦しむようなやりとりがあったようです。


私はこの事実を夫と別居し、実家に戻ってから打ち明けられました。

父の肩書への偏見


父親は義母との数少ない会話の中で


「社長さんなんですよね」

「社長さんですもんね」


というような言葉が何度か返ってきたそうです。



表情はニコリともせず

言葉はきつく

ものすごく嫌味を含んだものの言い方と失礼な態度にかなり衝撃を受けたようでした。



父は以前、確かに社員数人規模の会社を経営していました。


父が相手を不愉快にするような〝元社長ですアピール〟でもしたのだろうか?


しかし


私の知る限り、父の経営傾向は堅く真面目。

このとき既に仕事を引退して10年近く経っており、私たち家族・父本人も内外で父の仕事の話をするようなことはほとんどありませんでした。


今まで父が傲慢に振る舞うのを見たことがなく

顔合わせの日も終始夫や夫の両親に気を遣い、丁寧に話しかけている姿を見ていました。


初対面の時からご両親の冷たい態度で衝撃を受けましたが、さらに父にひどい嫌味を言っていたということに驚きました。



義母が父の肩書を知ったのは、夫実家側が私に提出を求めた身上書からだと思います。

そこには家族全員の学歴と職歴を記載しました。


社長は

お金持ちで強欲
横柄で冷酷


もしかしたら義母は、私の父が会社を経営していたというたった数文字の情報から、漫画やドラマの中に出てきそうな極端な社長のキャラクターを父に重ねて一方的に判断していたのではないか、と考えました。



私が夫とのおつきあいを反対されていた時も


東京在住
夫より5歳年上
30代半ばまで未婚


この情報だけで〝息子をたぶらかしている〟と決めつけられていたということがあったので、あり得ることかもしれないと思いました。

 

母の言葉への歪んだ解釈

 

夫の実家の近くには温泉地があります。

私が以前夫の実家についてそう話していたことを思い出した私の母は


「◯◯温泉には行かれたりするんですか?」

 
と義母に話しかけたそうです。



すると、返ってきたのは


 「うちは温泉なんか行くお金ないですよ」


とても険しく怖い顔で乱暴に吐き捨てられ、そのままその会話は途切れてしまったそうです。



いつもの私だったら、母の気にしすぎや思い違いなのでは?と問うていたと思います。


しかし

私と両親が顔合わせで感じたものが同じ

また、日頃はあまり気にしない父が感情を出して話していたり、感情に流されやすい母が冷静にその日のことを振り返っている様子に、やはり義親のひどい振る舞いはただの気のせいではなかったのだと改めて思いました。



父の肩書に対する義母の偏見がもし真実であるなら、母へのひどい言動・態度も納得できるような気がします。


元社長に嫌悪感があるなら

その妻にもきっといいイメージは持てない。



母がどんなに前向きな言葉を発しても、明るく丁寧に接しても


見下している
バカにしている
嫌味だ



このようにすべて悪意と捉えることで被害者意識が募り、きつい言動と態度に出てしまったのかもしれません。

嫁にも及んだ偏見と誤解

 

顔合わせでの両親それぞれのエピソードを聞いたとき、過去のいくつかの場面がすぐに思い出されました。


夫の実家に帰省した際、義母が


「お金は大事にしなきゃいけない」

「無駄遣いしちゃいけない」

「うちはお金がない」

 

など、お金に関する言葉を発することがよくありました。


義母が私に声をかけてくれることなど殆どない中でのセリフであり、またその言い方もまるで何か私に非があり、それを諭すようなニュアンスが感じられたため心外な記憶として強く残っていました。


また、義母だけでなく夫の口から唐突に


「言っとくけど、うち、金ないからね」


と言われたこともありました。


何のことか分からず、聞き返すと


「ほんとに俺んち金ないからあてにしないで」


私の言葉を封じるように険しい表情ときつい口調で言い終えると、その後は頑なに黙ってしまいました。


夫の言葉については夫自身のものではなく、夫のお金をずっと管理してきた義母が夫に指示していたのだと思います。



なぜあんな言い方をするんだろう?


その時は疑問でいっぱいでしたが

父の肩書に偏見を抱いた義母は、おそらく娘である私にも悪いイメージを持っていたのだろうと思いました。


お金にルーズでがめついに違いない

生活が派手に違いない

 

このようなイメージで私を見ていたため、息子と家のお金を守ろうとしていたのかもしれないと考えると今までの流れが理解できるような気がします。



自分で言うのもおかしいですが、私は客観的に見てもまともな経済観念のある家庭で育ち、結婚生活では明るく節約や倹約を心がけ堅実にやりくりしていました。



お金遣いが派手かどうかは数回会って分かると思うのですが、一方的なイメージで目も心も覆ってしまいまともに向き合おうとしない義母。

また、私のお金に対する真面目さをそばで一番分かっているはずなのに、母親に言われるまま否定も抵抗もせず私に一方的な言葉を伝えてきた夫。



結婚後のこのような理不尽な状況は、私の日々の小さな努力や心がけには一切関係なく顔合わせの時点ですでに決められていたことだったようです。

夫も受け継ぐ歪んだ思考


顔合わせでのエピソードを両親から聞いて改めて思ったのは、夫と義母のお金や肩書への考え方がとても似ているということです。


義母が父に〝社長さん~〟ととても嫌味な言い方をしたように、夫もまったく同じように父に対して「私はあなたみたいに社長じゃないんで」というような言葉を発したことがありました。

※この時のことについてはまたいつかおはなししたいと思います。



私がその時のことを持ち出すと、父も「あの時は驚いた」「すぐに顔合わせの時のことを思い出した」と言っていました。



夫はテレビなどでお金持ちや成功者が出てくると汚い言葉で罵ったり、露骨に嫌悪感を示して不機嫌になったりしました。

また、私が生活費やこれからのお金について話そうとするとものすごい形相で非難し、「金が足りないなら金持ちのところへ行け」などのような卑屈で乱暴な言葉で拒絶したり追い詰めたりしました。



誰も夫を責めていないし、
傷つけようとしているわけでもない。


それでも夫は〝お金〟〝肩書〟に関わる話題にひどく神経質な反応を示しました。


過剰な損得・勝ち負けへのこだわり
お金への強い執着
不必要な劣等感

そして、凝り固まった偏見


私を混乱や困惑・苦悩に陥らせたこのような夫の思考、特にお金や肩書へ偏見は夫の家や親の思考が強く深く影響していたのかもしれません。


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偏見と誤解からの脱却


当時はとにかく動揺する自分の心の整理をしたり入れ替えたり、前に進むことに必死で〝どうしてあんなに地獄のような顔合わせになってしまったんだろうか〟ということについては深く考えていませんでしたが、その後の苦悩に満ちた結婚生活や両親から数年越しで聞いた顔合わせのエピソードから、推測でしかありませんが〝なぜ〟が少し分かったような気がします。



 偏見を持たれていた


そして


露骨に傷つけることを良しとするほど蔑視されていた




義母は義母の立場でいろいろな経験や思いを経てきた結果、お金や肩書に偏見を持つようになってしまったのかもしれません。

お金にこだわることはすべてが悪いことではないですし、義母なりに家のため自分たちのために真面目に堅実であろうとする考えが根底にあるのかもしれません。


しかし


義母もしくは家族にとっての正義であったとしても、息子が結婚しようとしている人とその家族に対していつまでも根拠のない偏見を持ち続け、人の心を軽視するような行為や言動を続けるのはとてもひどいことだと思います。



顔合わせでの義親の非礼な振る舞いや理解に苦しむひどい言葉は、父も母もそれぞれ自分の受け取り方がおかしかったのか、相手への失礼があったのかと考えて思い悩んだそうです。

しかし、お互いにその日の感想を話すうちに共通の傷を負ったと知り、自分たちの思い過ごしではないと確信したようです。



両親は私が夫と別居して実家に戻るまで
この日のことを私には伝えていませんでした。


結婚に向けて心を入れ替え、前向きに新しい環境に飛び込もうとしている私に、事実を伝えることは心苦しかったようです。


私は私で、地獄のような顔合わせでの出来事はものすごく大きな苦悩や不安を抱えることになりましたが、今さら両親を心配させたくなく、これからしあわせになる姿をみせようと必死だったので親には一切泣き言を言いませんでした。



しかし、今はそれを少し後悔しています。


自分なりに両親の心を守ろうとしていたことは事実ですが、結果、両親も同じ空気の中で困惑しながら奮闘してくれていたのに、きちんと両親の心をフォローできず、また〝娘への秘密〟という重いものを背負わせてしまいました。



義親の偏見や誤解についてはあくまで私の推測なので、夫の両親がどういう思いで私たち家族に心無い態度や言動をしたのかという真実は今も分かりません。


受けた心の痛みの真の原因は闇の中ではありますが、数年経ってやっと顔合わせの日の本当の思いについて両親と話すことができたことで少し胸のつかえがとれたように思います。


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