妻、やめます。

モラハラ夫と過ごした日々の回想録

テスト採点で満身創痍〜モラハラ夫のお手伝い①

恐怖と緊張の定期考査


学校の定期テストにあたって
気合を入れて奮闘するのは学生だけではありません。

専業主婦である私も、
教師である夫をサポートするために毎回並々ならぬ思いでテスト期間に臨んでは心を砕き、身を削っていました。


夫の役に立ちたかった妻と
妻の心を利用したモラハラ夫


今回は、夫の仕事『テスト採点』の際の夫婦の姿を通して、モラハラ夫の実態をおはなしいたします。に焦点をあてておはなしいたします。

 始めるまでが一苦労


夫はもともと自制心が弱く、計画性がありません。

〝俺の気分〟〝俺の裁量〟

によってほとんどの物事が進められていきます。


教師の仕事に限って言うと

周りとの密な連携が大切な分野は、モラハラ夫特有の異常な外面の良さでかなり無理してこなしていたような印象です。
本来、人との深いコミュニケーションが苦手な夫には相当なストレスだったと思われます。


個人の裁量によって進められる仕事については〝俺本位〟全開でものすごくマイペースでした。
それが良い方に作用していればよかったのですが、周りへの配慮を欠いていたため内側の私に対してだけでなく、一部の外側の方たちにも迷惑をかけていたようです。

※夫の先輩先生から「仕事が遅い」「言ってもすぐやらない」など、夫へのクレームが何度か私に伝えられました。


毎回、テスト期間が近づくと私の恐怖と緊張が増しました。


夫の自分本位な〝俺の裁量〟に振り回されること

夫の負のエネルギーを理不尽に受けること


これらが主な理由です。


定期考査が終わると、夫は答案用紙を家に持ち帰ります。

※答案の持ち帰りについての正しい是非が分からないのですが、夫は校長先生の許可を得ていると言うのであまり追及しませんでした。それ以上の追及は危険なのです。


「これ、月曜に全部返却するから(怒)」

何に怒っているのか分かりません。
なぜか、私に対して攻撃的に言います。

「そうか。じゃあ土日は頑張ろうね


〝頑張ろうね〟という言葉を使うのには大事な理由があります。

〝頑張って〟と言うと、
夫ひとりに苦労をさせて突き放すように聞こえてしまうようですが、

〝頑張ろうね〟と言うと、
〝私も一緒に〟というメッセージを含ませることができます。

夫とのやり取りから学びました。
夫が一気に不機嫌にならないようにするためです。


いつもだいたい2~3日以内には返却しなければならないので余裕がないのは分かっているのに、夫はなかなか採点を始めません。

ひどい時は採点作業を放ったらかしたまま、他の先生からの飲みの誘いに乗って行ってしまいました。


「まだ始めなくて大丈夫?」

「これ、明日までだっけ?」

と、明るく声をかけます。


夫はものすごくきつい目つきで睨んだり、聞いたことを後悔するような恐ろしい形相に変わり、

「何?やりますけど」

「これ俺の仕事だから。指図しないでくれる?」

「いつやるか、あなたが決めることなの?」

「今俺の時間だよね」

「なんであなたの言う通りにしなきゃいけないの?」

などと吐き捨て、わざと荒々しい行動で威圧。
重苦しく嫌な空気を振り撒きます。



定期テスト前後は、
心だけではなく身体にもダメージがあります。


夫の計画性のなさは、テストの作成に際しても同じです。
試験の日程は前もって分かっているのに、いつもギリギリ。

テストが仕上がるのは当日の朝です。

朝帰りした夫は30分~1時間ほど仮眠をとって再び学校へ。

こんなことを毎回繰り返しています。


日頃から、夫のゲームによる不摂生で生活リズムが乱れがちですが、定期テスト前後は特に朝帰りや徹夜が重なるので、とてもきつかったです。

でも〝仕事をしてる俺 家で楽するお前〟という意識が強く働くモラハラ夫。

私が〝きつい〟と言うのは悪いことのような気がして、口に出せませんでした。

テスト採点中の私の役割


やっとテストの採点が始まっても、緊張と恐怖は続きます。

必ず嫌な空気にさらされ、
傷つき暗い気持ちになります。


それでも私は

自力では仕事を完走できない夫のため、
期限内に仕事を間に合わせなければという使命感のため

心身に鞭を打たなければなりませんでした。

テストの採点作業

どのようなきっかけで手伝うようになったかは覚えていませんが、夫がものすごく憂鬱で不機嫌な空気を出したり、どうしたって返却日に間に合わない様子を目の当たりにすると「私も手伝うよ」と言わざるを得ませんでした。

夫は重く息苦しい空気を作り出して、私の言葉を導きました。
基本的には「手伝って」と自ら言わないのです。


夫はとても計算高く、ずるいところがあり

「俺はやれって一言も言ってないよね」
「あなたが自分から手伝うって言ったんでしょ」

と、後で何かあったときにこういった言い逃れをしました。

 

応援と激励

夫はすぐに不機嫌になり、空気が悪くなります。

「疲れたー」とか「まだ終わらないなぁ」など、普通に不満を吐き出すならまったく気になりませんが、夫の場合は私に対して意地悪だったり攻撃的になります。

夫の陰気な空気感や八つ当たりのようなきつい溜息が始まると、私は心がもつ限り、それに気づかないふりをしてかわしました。

「すごい!もうこんなに終わったね」

「一緒に伸びしよっか」

などの言葉とともに明るく振る舞いました。

夫はそれに簡単には乗ってくれませんが、夫の悪い空気を少しでも晴らしたくて必死でした。

 

さりげなく目覚まし

夫はすぐに寝てしまいます。

ここで普通に起こすと私はひどく傷つくことになりました。

「はぁ?なに。寝てないし」

「別にあなたに起こしてって頼んでないから」

攻撃的な語気。
ものすごく恨めしい形相で睨みつけられました。


なので、腫れ物にさわるように慎重に起こしました。

角を徹底的に取り去った声と態度で優しくあたたかく。

子どもをあやすように。

答案についての質問や、テレビに映る人を指しながら話題を振るなどして遠回しに。


「俺、10分だけ寝るから起こして」
「〇〇時になったら起こして」

と頼まれることも多かったです。

私は、自分も仮眠したい気持ちを必死に我慢して使命を果たすのでした。


私は夫からのこの依頼がとても嫌でした。


「本当に10分経った?(怒)」

「経ったよ」

「・・・。俺、何時に寝た?」

「〇分からだったから、ちょうど10分だよ」

夫はまだ納得しない様子。

疑いの眼をちらっと向け、
私への不満と非難を帯びた大きな溜息をつきました。

時間通りに起こしても、許されない。
一晩のうちに何度も交わすこのやりとり。

本当に苦痛でした。


コーヒーとおやつ

ほぼ毎日、おやつを用意します。
夫はおやつがないと不機嫌になります。

テスト採点の期間には
より夫の好みに沿うものを、より多く揃えるように心掛けていました。


夫のイライラが私に向けられて心が苦しくなると、私はおやつに助けてもらいました。

ゲーム・テレビ から気を逸らす

ゲームを始めてしまうと止められない夫。

テスト採点を始めるまで
テスト採点中

ゲームを我慢すれば徹夜なんてしなくて済むのに。


そして、テレビを見ながらテスト採点。

映画に見入ってしまう夫。
バラエティを見ながらにやける夫。

そのあいだ、私は黙々と採点を続けます。

その後も一向に娯楽をやめない夫に、慎重に選んだ言葉や態度で採点に戻るよう働きかけますが私を一瞥するのみで止めません。

あたりまえのように徹夜を強いる夫。

さすがに私も夫の横柄な態度に我慢できなくなることがあったため、毎回多かれ少なかれぶつかることになりました。


何が何でも私をぶっ潰さないと気が済まない夫は

「手伝ってやってるって気持ちならやるなよ」

「やりたくないならやんなくていいよ」

「別にあなたに助けてもらわなくてもできますから」


そしてさらに


「あなたとこういう時間を過ごす方が無駄な時間だから」

「あ~あ、あなたのせいで採点の時間が無くなったわ」


勝ち負けにこだわり、非を絶対に認めない夫。


とあるテスト採点の夜の結末は、
私が夫の貴重な時間を奪ってしまったことを死に物狂いで謝罪することになりました。

 

妻の心を踏み潰す夫


テストの採点は〝夫の仕事〟であり〝生徒さんの大事な個人情報を扱う〟ので、お手伝いとはいえ、私はかなり神経を使って慎重にこなしていました。

私が任されるのは記号の選択や簡単な単語の記述問題でしたが、文字の書き間違いによっても点数が変わってくるので、判断が微妙な解答などはすぐに夫に聞きました。

夫は、私が質問をすると迷惑そうに顔をしかめ、冷たい対応でした。


そして、さらに気になったことが。

「漢字の一本横棒足りないとかはバツだったよね?△で1点?」

「誰?」

「▢▢くん」

「ふ~ん。2点あげていいよ」

「え?2点あげていいの!?」


こういうとき、夫は誰の解答か聞いてきました。

最初は何も考えずその生徒さんの名前を伝えてましたが、毎回聞かれるので疑念を抱きました。


人で判断してる!?


「これって、誰の解答かによって点数変わるの?」と、つい聞いてしまった後は地獄でした。

夫は急にブチギレたのです。

大きな目をさらに見開き、ものすごく威圧的な怒鳴り声で訳の分からない柄の悪い言葉を連呼しました。

私は夫を怒らせたショックとそのおぞましい状況に感情をかき乱され、泣きじゃくりながら許しを請いました。


生徒さんの大事な成績に関わることであり、私がミスをすれば夫の周りからの信用にも傷がついてしまう。
仕事と名の付くものを引き受ける以上、いいかげんにこなすのは気が進みませんでした。

その一方で
夫からは理不尽に傷つけられ、余計な恐怖と緊張を強いられる。

恐怖と責任

夫と同じゴールを目指しているはずなのに、
常にこのような葛藤を抱えていることがとてもつらかったです。

妻の心を利用する夫


数年経ってあるとき、私の心に変化がありました。

テスト採点のお手伝いはもうやめよう、
と思ったのです。


最初の頃は夫の役に立てれば、役に立ちたいという思いでしたが、毎回の嫌な空気に心身疲れてしまい、お互いのためにもプラスになっているとは思えなくなったからです。


夫は、私が手伝わないことに対して直接何も言いませんでしたが、不満と非難がこもった大きな溜息と大きな独り言を何度もくり返しました。


夫が新たに作り出すその空気は、

〝何もせず、手伝わない妻は悪である〟

と突きつけてくるようでした。


その度に〝私は冷たいのかもしれない〟〝妻として失格なのか〟と自身を責めるような心に苛まれました。


夫は今までと同じく

〝10分後起こして〟と言って眠り、

コーヒーとおやつを要求し、

いつのまにかテレビに没頭しては私の心配を煽りました。


夫は、自分が仕事しているのに妻が何もしていないのが気に食わないのです。
※実際は心身フル回転なのですが・・・

絶対に「先に寝てていいよ」という言葉を言いませんでした。


そして深夜。

捗らない仕事と手伝いを申し出ない妻にイライラを募らせる夫。

私は緊張と恐怖に苛まれながら
じっと耐えていました。

すると、痺れを切らしたように

「ちょっとこれ、やってくんない?」

と、恨めしい低い声で言いました。


明らかに朝までに間に合わないことは
私も傍で見ていて気づいていました。

夫のためにはならないけれど、私は手伝いました。


夫はおそらく、私が手伝うことを見越して仕事をしていたのです。

 

おわりに


夫の心の中には

〝仕事をしてやってる俺の方が上・偉い〟

という思いがあります。


それを私に誇示し、私より優位に立つことで欲求を満たしていました。


それゆえ

妻が夫のために、夫の言うとおりに動くのは当然であり

夫がどう振る舞おうが受け止めるのが妻の務めであり


それができず、抗えば


容赦なく妻の恐怖心や不安を煽り、

良心や罪悪感を巧みに刺激することによって

支配・コントロールしました。


少しでも夫の役に立てたら

という純粋な妻の心は、こうして毎回傷だらけになって朝を迎えました。

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