夫の憂鬱とモラハラ
夏休みが終わります。
いよいよ、新学期。
久しぶりの学校。
早起きして、勉強して、部活して、、。
憂鬱な生徒さんもいるかもしれません。
しかし、憂鬱なのは生徒だけではありません。
教員である夫も、でした。
今回は、モラハラ夫の憂鬱な新学期前夜のおはなしです。
モラハラ夫と仕事
夫は仕事人間です。
厳密にいうと、
自分に利益がある仕事に関しては仕事人間です。
- 生徒からちやほやされたい
- だれより目立ちたい
- 保護者から褒められたい
- 他の先生に負けたくない
- とにかく良く思われたい
あるいは、
純粋に自分が好きな作業には、必要以上に手間暇かけていました。
誰でもよく思われたいという気持ちはあるので、すべてが悪い動機ではないのですが、
夫の場合、モラハラ特有の〝異常な外面の良さ〟からくる歪んだものでした。
基本的には
仕事自体は大嫌い。
生徒も保護者も関わりたくない。
だって、
人が嫌い。興味がない。
でも、
とにかく
誰よりも良い先生と言われたい。
私は、夫の仕事に向かう姿勢や、教師としての言動や態度をずっと〝内側から〟見てきました。
夫の教員生活を支えたいと妻になりましたが、次第に夫のような人は教師になってはいけない、と思うようになりました。
夫は、本当に生徒のためを思って教職に従事しているわけではないからです。
子どもも保護者も夫にとっては、歪んだ自己愛を満たす道具に過ぎませんでした。
夫の夏休みと仕事
夫は、中学校で部活の顧問を2つ掛け持ちしていました。
夏休みの前半は
毎日部活動があるので、朝は普通に出勤していきます。
他の先生から頼まれて担当外の部活の面倒を見たり、付き添いに行ったりというのもありました。
盆休暇を挟み、
後半は新学期の準備で出勤したりします。
基本的には勤務日なのですが、休みたいときは有給を使えました。
夫は、
「夏休みは毎日生徒に会わないから、まだマシ」
と言ってましたが、
年々新学期の準備が後回しになり、行かなきゃいけない日にもずる休みをするようになりました。
これは夏休みに限らず、何回もありました。
その都度、私に
「休んでいいと思う?」
と聞くので、
「イチオが大丈夫ならいいんじゃないの」
「休んで平気なら、休めるとき休んだら?」
などと答えてました。
私からちゃんと「行ったほうがいいよ」と言うべきだったのかもしれません。
でも、そんなこと言ったら
〝あなたはいつも家にいるからいいよね〟
という嫌味を何度もいう夫のことなので、その後の〝攻撃〟が怖く、私は夫の気持ちを察して肯定する以外の選択肢はありませんでした。
夫はただ〝ムギコが休んでいいって言ったから〟という言い訳を求めていることが分かったので、夫の見えない強要に応えました。
学校に休みの連絡をした後も、
「休んでよかったかなぁ」と肯定の確認をしてきました。
夫は、
私が〝夫を非難する心〟を持っていないかを疑っているのです。
※こういうのが分かるようになったのは、それまでに何度も失敗して理不尽に傷ついてきたからです。
だから私は、
夫が休むことになってよかったことをたくさんたくさん伝えました。
夫の憂鬱、妻の緊張
いよいよ明日から新学期、というとき
夫に異変が起こります。
- イライラして不機嫌になる
- 感じ悪く黙る
- 大きな溜息を連発
- 嫌味な独り言を言う
- おなかを下す
- 背中が痛くなる
など。
誰にでも少なからずありそうな症状であり、いつも通りのモラハラ夫という感じに見えますが、これが尋常じゃないレベルなのです。
すべてに〝異常に〟〝ものすごく〟とつきます。
空気がとても張り詰めて攻撃的です。
そして、夫の負の異変をうけて私も異変が起こります。
心身に緊張が走り、硬直します。
私自身もおかしいことだと分かっているのですが、このような空気にさらされ続けていると、
「お仕事させてごめんね」
「養ってもらってごめんね」
「私がいなければこんなにつらい思いして仕事しなくていいのにごめんね」
と謝ってしまうのです。
もちろん、新学期が始まるのは私のせいではないのですが、夫の露骨で強烈な負の感情は私ひとりに向けられているのだから、私が受け止めて、何とかしなくてはと思ってしまうのです。
夫は「別に。ムギコは悪くない」と不貞腐れたような低い声でぼそっと言い、
その後も空気の重さ・暗さは・鋭さは変わりません。
夫は、私に本当の安息・安心は絶対にくれませんでした。
〝ムギコは悪くない〟
けど
〝俺の憂鬱はお前も共有しろ〟
ということです。
布団に入っても、ずっと重く鋭いため息。
バサバサと大きな音を立てて寝返り。
私が先に眠りにつくことは許されません。
夫は、私が心身弱って起きていてほしい時は受け止めてくれませんが、自分が寝付けない時や、少しでも具合が悪いと起こしてきます。
「何かおもしろい話して」
「俺のいいとこ言って」
「なんかいいことないかなぁ」
「あ~つまんねぇ」
「明日、ムギコは何してんの?」
私は一つ一つに丁寧に、必死に答えました。
夫の逆鱗に触れないように、
これ以上空気が悪くならないように。
夫から頼られれば、どうにか応えたい。
でも、日々のモラハラ行為を思うと、
自分は何なのだろうと虚しくなることがたくさんありました。
子どもたちのために
今、離れて暮らす夫。
おそらく今夜もいつものように
憂鬱を抱え
身体の傷みに悶え
また明日から始まる〝異常な外面〟の日々に思いをめぐらせ、緊張と不安に苛まれていることと思います。
でも、きっと夫と同じように
新学期を前に、
眠れない夜を過ごしている生徒さんはきっといると思います。
夫に望むことは
子どもたちのそばにいる教師として、大人として、正しく生徒さんと向き合えるようになってほしいです。
まだ大人と子どもの両方の心を持った子どもたち。
ひとり、緊張や不安を抱えるのはとても苦しいと思います。
教師という仕事を選んだのなら
歪んだ自己愛をみたすことに執心するのではなく、子どもたちと真の信頼関係を築き、ひとりひとりの心を大切にすることに、心を使ってほしい。
一度も言えなかったこと。
これからも言えないこと。
私は、ここでこうして文字にすることしかできませんが、どこかで誰かが夫を正しく導いてくれることを祈ります。
新学期。
子どもたちの笑顔がいっぱいあふれる一日でありますように。