モラハラ夫の特徴『つよい劣等感とコンプレックス』
以前、夫の『つよい自己顕示欲』についてお話ししました。
今回はその裏側である、モラハラ夫の
『つよい劣等感とコンプレックス』
についてお話いたします。
以前のおはなしはこちらです。
劣等感が自己顕示欲を生む?
以前のおはなしでも書きましたが、
自己顕示欲が表から見える【陽】
劣等感は内に秘めた【陰】
自己顕示欲と劣等感は背中合わせの関係にあると私は思います。
劣等感は自己顕示欲を呼び、
自己顕示欲は劣等感を強く意識させる。
私から見た夫は、
異常につよい劣等感・コンプレックスを抱えているようでした。
夫から発せられる多くの言葉、全身にまとう空気・態度は、そのつよい劣等感の影響が大きく、自分を追い込むほどの『自己顕示欲 承認欲求』は、それらに突き動かされていたのではないかと思います。
夫は、人生上のさまざまなテーマに於いて
劣等感やコンプレックスを抱えていました。
成功者が大嫌い
夫は、何かの道で成功した人や活躍している人を静かに、時に激しく拒絶していました。
テレビでよく
スポーツ選手・経営者・学者・その道の職人などの生い立ちや道半ばの苦労、そこからの飛躍や逆転劇などが特集されることがあります。
夫はそのような番組が始まると、
かならず黙ってチャンネルを変えてしまいます。
私は夫の行動に気づいてからは一切、チャンネルを変えてしまうことについて触れませんでした。
「あれ?番組変えちゃうの?」
と言っただけで
夫の表情が曇って重い空気に変わるのが嫌だったからです。
日常会話のつもりで、なにげなく私の友だちやメディアで見聞きした人たちなどの〝すばらしい話〟〝前向きな話題〟をしようとしたときの夫のブロックの仕方や私への攻撃的な言動・態度は露骨で酷いものでした。
まったくこちらを見ずに無視、分かりやすく私の言葉をぶった切る、まったく関係のない話題へのすり替えをして、私を責めることもありました。
「あなたの話に興味ない」
「その話いつまで続くの?」
「それって今しなきゃいけない話なの?」
普通の会話の最中にもよく出てきた言葉ですが、このようなセリフを吐いては穏やかなひとときを一気に凍らせます。
ただでさえ夫とは会話がままならないのに、会話の内容も、夫の劣等感を刺激しないようなものを慎重に精査しなければなりませんでした。
人間関係が続かない
夫には友だちがいません。
正確には〝いる〟もしくは〝いた〟のかもしれません。
しかし、私とともにいた5~6年の間。
地元のオフィシャルな同窓会に一度だけ参加した以外は〝友だちと会う〟という予定は一度もなく
毎年、だいぶ久しく会っていないらしい学生時代の仲間からの年賀状が数枚届きますが、連絡を取っている様子は全くありませんでした。
友だちとのエピソードを聞いた記憶もほとんどありません。
夫の様子を見ていると、
人の輪の真ん中にいたい
ちやほやされたい
という強い自己顕示欲は感じ取れますが、
プライドや劣等感が邪魔をして、親密な関係を築けないようでした。
また、極端な二面性を有する夫。
外では自分を殺して〝過剰ないい人〟を演じているため、本当の自分がさらけ出せないストレスも相当あったと思います。
私に対してもそうでしたが、
少しでも自分に対する否定的な風を感じると過剰に反応し、すぐに壁を作って自分の殻に閉じこもるか、ものすごく攻撃的になって自己保身に走ります。
自分のプライドを揺るがす存在。
自分が優位に立てない環境。
目障り、耳障りなものは徹底的に排除・攻撃する傾向がありました。
コミュニケーションが苦手
先にも書いたように、
夫は二面性が酷く、私といる以外はいつも外面で生きていました。
外の空気に合わせ、
いつも作り物のお面のような笑顔
腰をきれいに90度。何度も折り、
限られたいくつかの謙譲語を機械的に何度も繰り返していました。
社会に出れば必要なスキルでもありますが、夫の態度・言葉はとにかく過剰であり、分かる人から見れば、すぐにそのメッキを剥がされかねない危ういものでした。
夫も、それが分かっていたのかもしれない。
でもやめられない。
私に対し、そのイライラをぶつけてくることが多々ありました。
私が初対面の人とも普通に会話ができてしまったり、自分の思いを次々に言葉にしていくのが面白くなかったようです。
なにかで言い合いになると、
「ムギコは世の中が分かってないから、外に出て、もっと人と関わった方がいい」
というようなことを何度も言われました。
そう夫から威圧的に頭ごなしに言われ、容赦なく人間性を否定され続けた私は、自信を無くしたり、自分を無理に反省しようとしてたくさん悩みました。
〝今まで友だちとも、会社の人たちとも普通に会話してきたつもりだったけれど、私は何かおかしかったのだろうか??〟
夫は、本当に私の未熟さを指して、そう忠告していた部分もあったかもしれません。
しかし、
夫が私にしていたのは、
夫が自分自身の中にある認めたくない性質や感情を他者に押し付ける〝自己投影〟という防衛機制だということを知りました。
そうすることで、
夫は自身の劣等感から目を逸らし、押しつぶされそうな自分の心を必死に守っていたのです。
学歴・肩書のコンプレックス
夫にとって自身の学歴は、何かと心を曇らせるものだったようです。
過去に夫から聞いた話をまとめると、、
夫は地元でも進学校として有名な公立高校を出ました。
中でも、成績優秀者だけのクラスに合格したエリートだったようです。
しかし、
大学受験に失敗。
滑り止めの私大に入学しましたが、数か月後、一度入学した私大を退学して浪人生活を経て国立大に入学しました。
その国立大も希望していたところではなかったようですが、4年間頑張って勉強し、狭き門の別の国立の大学院に入学。
しかし、研究は思うようにいかず
6年の院生生活を自ら断ち切り、教員の道を歩むことにしたそうです。
「勉強しかしてこなかった」
夫はそう言いました。
本当に、きっとそうだったのだと思います。
楽しくのんびりと大学生活を終えてしまった私が言うのはとてもおこがましいけれど、心血を注いできた結果が報われなかったことの悔しさ・虚無感を抱えて前に進むのは本当に辛かったと思います。
私は私なりに自分の人生で
身を切るような痛みを経験し、何度も挫折と泥まみれの再生を繰り返してきました。
私は夫の気持ちをすべて理解することはできないけれど、夫が重ねてきた努力と、人生を変える大きな決断をしたことに敬意を払い、まぶしく見上げていました。
でも、
私の思いなんて夫には何の慰めにもなりません。
夫にとっては『強い劣等感』に組み込まれるような経験になってしまいました。
学歴にコンプレックスを抱えたまま、目標とは違う、教師として社会に出た夫。
夫は自身の『劣等感・コンプレックス』などの心の穴を埋めるため、職員室あるいは家庭という小さな輪の中の一定の人たちを見下すことに逃げていました。
特に、その鬱屈した思いの矛先は私でした。
私を馬鹿にする。
あるいは、
誰かを馬鹿にする言葉を私にぶつける。
少しでも夫の心を軽くしたい、前を向いてほしいと願っていた私は、夫からの見えない要望に応え、できるかぎり〝馬鹿〟になりきりました。
※もともとの素質はあるかもしれませんが、、(苦笑)
そして、
人を馬鹿にする露骨な悪口に対しては、賛同する代わりに、私の〝馬鹿さ〟をあてがい、夫の心を逆撫でしない程度にかわしました。
勝手な思い込み
夫は生活・将来など社会的・現実的な話題になると、異常に拒絶反応を示しました。
夫婦で避けて通れないお金の話にも、即座に威圧的な目つきや口調に変わり、私に恐怖を与えて近寄らせない攻撃的な空気を作り出しました。
「金が必要なら、金持ちのところに行けよ」
「金が足りないっていうのかっ」
「生活に不満なら出て行け」
まったくそんなことを意図しない私の言葉に対し、夫はかなり神経質に歪んだ受け取り方をして一方的に激昂し私を責めました。
日頃からお金持ちを敵対視したり、羨望するような発言が多かった夫。
これも、自身の鬱屈した心を
私に投影していたのだと思います。
弟の存在
夫には3つ年下の弟がいます。
とてもユニークなキャラクターの弟さん。
個性的な話し方や大きなジェスチャー。
周りを巻き込んで、いつも笑いが絶えない空気をもたらします。
夫とは真逆の性格。
〝内弁慶の兄と人懐っこい弟〟
義理母は、息子達をこう比較して話していたことがあります。
弟さんは夫がほしいものをもっています。
人懐っこく、オープンな性格
高いコミュニケーション能力
賑やかな学生時代
国立大大学院を卒業
また、弟さんも教師なのですが、
日々、鬱々と仕事に向かう自分と対照的に、なんとなく順調にこなしているように見える弟の姿に、嫉妬心などの複雑な心境が渦巻いていたように思われます。
夫は、私とお付き合いする前から、自発的に何度も弟さんの話をしていました。
「弟はほんと馬鹿でさ〜」
私の家族や、同僚の先生などと会話するときも、唐突に〝弟が馬鹿だ〟という話をし出しました。
私は最初、そう言えるくらいいい仲なんだな、と思っていましたが、どうやら、小さいときから陰湿にいじめたり、陰で暴力を振るっていたらしいことを後から知りました。
実家に帰省すると、兄らしく
「そっちはどうだ?」
と声をかけますが、それ以上親しげな会話はありません。
いつしか弟さん家族と帰省時期をずらすようになった夫。
自分の劣等感を刺激されるのを恐れていたのかもしれません。
劣等感に支配された夫
夫はよく
「あなたは何様?」
「俺を誰だと思ってるんだ」
「俺を馬鹿にしやがって」
と激昂しました。
それなのに
人を馬鹿にする、見下すことには何の躊躇もなく
「馬鹿を見に行こうぜ」
「馬鹿な奴いないかな」
「あの人の足、太くない?」
「あの服、似合ってないよね」
と、人を馬鹿にしたり、容姿を笑ったり。
いわゆるオタクっぽい人たちを見ると、「うわぁ」「気持ち悪」と露骨に見下しました。
どこまでも心に醜い穴を掘り続ける『劣等感』
夫はその穴を必要以上の自己顕示欲で埋めようとしていました。
私だって完璧ではありません。
嫉妬や羨望に苛まれることはたくさんあり、劣等感も自己顕示欲もあります。
しかし
夫のように、強すぎる劣等感と自己顕示欲は自身を必要以上に苦しめ、身近な人を傷つけます。
自分は正しい、周りだけが悪い
自分から◯◯したら損、あるいは負け
自身のマイナス要素は誰かのせいにして責任転嫁を繰り返し、何事も損得や勝ち負けで物事を処理してきた夫。
それらを抱えたまま、夫は何一つ変わろうとはしませんでした。