モラハラ夫にとって『謝罪』は死活問題
モラハラ夫は自分の非を認めません。
たとえ明らかに自分が悪いことでも
なりふり構わず、何が何でも謝罪を回避します。
今回は、モラハラ夫の『謝らない』実態とその心理を考えます。
ものすごいカーブを描く夫の言い分
とにかく『非を認めない』『謝らない』モラハラ夫。
正面から物事に対峙することを強引に避け、社会では到底通用しないような破綻したやり取り・見苦しい言い分を平然と繰り広げました。
話を逸らす
私が何か言い間違えたりすると、そこをしつこく細かく突いてきます。
わざわざ話を止めてまで指摘するほどのことでもないのに何度も言い直させたり、間違えたこと自体をいつまでも責めたりしました。
〈間違いを犯す人 = バカな人〉
〈バカな人 = ダメな人〉
〈ダメな人 = しょうもない人〉
上記のように、ひとつの些細な言い間違いをきっかけに次々と悪口を放ち、最終的には私がいかに頭がおかしいか、価値のない人間か、というところまで持っていきます。
話を聞いていないようで、私がミスや失態を犯すのを虎視眈々と狙い、ちょっとした攻撃材料をも逃さず話を逸らしていきました。
「あなたみたいな人の言うことは俺には価値がない」
「しょうもないあなたのせいで、俺の時間を無駄にされた」
「じゃああなたの間違いは許されるの?」
夫の話の逸らし方はとても強引かつ緻密。
私にダメージを与え続けることで『謝罪』の衣を脱ぎ捨て、私に着せようとするのでした。
罪悪感を煽る
少しでも夫の非を指摘されるような場面になると、夫は私の罪悪感を煽りました。
「ムギコのために一所懸命働いてやってるのに」
「毎日頑張ってる人に対して感謝が足りない」
「恩を仇で返すつもり?」
日々夫への感謝の思いがあり、自分なりに夫を精一杯支えようと生きていた私は、夫からこのような言葉をぶつけられるとものすごく感情が揺さぶられました。
「あの時、〇〇してあげたよね」
「あなたのせいですげえ傷ついた」
「俺、こんなに頑張ってんのに何であなたに責められてんの?」
感謝の思いに変わりはない。
これは別の話だ。
私は丁寧にしっかり胸の内を説明しようとしますが、夫は一切聞く耳を持ちません。
そして
〝感謝が足りない妻〟への軽蔑や失望を並べたてました。
どうしても日々の感謝の思いが本物であることを分かってほしくて必死に訴えますが、夫はさらに〝私への失望〟を強調して罪悪感を煽りました。
夫を傷つけたこと
失礼なことを言ったこと
まだまだ感謝が足りなかったこと
そもそも私が夫から傷つけられたことで夫に謝罪を求めても、結局自分の至らなさを謝罪し泣いて許しを請うていました。
〝夫に謝罪を求める私の心〟
夫はこれを「悪」とし、その罪を私に負わせるのでした。
責任転嫁
モラハラ夫の典型的な特徴である『責任転嫁』
一切ぶれることなく堂々と責任転嫁する夫には、本当に心がかき乱されました。
「あなたが俺を怒らせるからでしょ」
「俺は100%悪くない」
「そう感じるあなたが悪い」
「俺はこれ以上何もできない。後はあなた次第」
「あなただって〇〇するときあるよね」
夫は自分の言動や行動を振り返る、内省するというようなことをしません。
夫にとってはする必要のない無駄なことだからです。
夫の中の答えは決まっています。
〝悪いのは俺以外〟
全力で責任転嫁し、後の処理は私に押し付けました。
夫に突き放されてしまうと、私はどんなに悲しくてもつらくても自分の心や感情を大事にすることができませんでした。
脅して潰す
これまでのような強引な謝罪の回避に対し頑張って反発を続けると、今度は常軌を逸した地獄絵図のような展開に持ち込みます。
恐怖と絶望に陥れる暴言と態度
目を見開き、訳の分からない言葉を耳元で怒鳴って連呼し、怖くて泣きじゃくる私に答えを急かしました。
「おい、俺が悪いって言うのかよ」
「俺悪くないよね、どうなんだよ」
ここで私が「イチオは悪くない」と言っても、
夫はその脅しの勢いを緩めません。
ここからさらに、
私が立ち直れなくなるまで
心が機能しなくなるまで
徹底的に潰してきました。
「おまえはぜってぇ許さないからな」
「もう離婚しかないよ」
「あなたが変われないなら無理」
「俺に不満があるなら出てけ」
どこで身につけたのだろうかと思うようなものすごく柄の悪い口調で攻撃され続け、私は泣きながら謝罪の言葉を唱え続けました。
最終的にはもう最初に私が言いたいことの原型をとどめないほどにめちゃくちゃにされ、夫の言い分の波に飲まれてしまいます。
いつもこの手口は分かっているので、どうにかして食い止めようとするのですが、夫の巧みな悪知恵と激しい恫喝・脅威によって心をかき乱され、いつも慟哭して許しを請うていました。
『謝罪しない』夫の心にあるもの
ここまでなりふり構わず、明らかな非も認めずに謝罪を拒むモラハラ夫の心にあるものとは何なのか。
それは
- 勝ち負けへのこだわり
- 自己保身と歪んだ自己愛
- 支配関係の強化
これらがモラハラ夫の『謝罪』を拒んでいたのではないかと考えました。
確固たる自分がなく、
ありのままの自分を受け入れられないモラハラ夫。
誰からも称賛される特別な存在である〝素晴らしい自分〟の鎧をまとい、あとはそんな自分を維持するために外では本当の自分をすり減らし、内では暴力を使って歪んだ自己愛を満たしています。
非を認め、謝罪をするということは
ダメな自分・未熟な自分・欠点を受け入れなければならず、自ら作り出した〝素晴らしい自分〟ではなくなってしまいます。
自分を守るためには
欲求を満たすためには
なにがなんでも相手に勝って優位に立ち、絶対的に支配できる立場にあることでモラハラ夫の心のバランスが保たれていたのだと思います。
『謝らない』はモラハラ夫の大事な『盾』
〝夫は謝罪しない〟とここまで書いてきましたが、ごく稀に謝ってくれることがありました。
しかし、残念ながらそれは夫の真意ではありません。
損得勘定で得だと判断したからです。
これ以上問答を続けることが不利だと思えばあっさり幕を引き、自分が謝罪したことを後に「あの時俺は謝ってやったよね」と言って、私を恩知らずの悪者にして支配の道具として使ったりするのです。
後から振り返ると、
問題の争点・核心には一切触れず
まったく関係ないところを謝っていたり、
「俺もごめん」という感じで
あくまで悪いのはお前だけど〝俺も言い過ぎた〟という形で終わらせようとしていました。
ものすごくしたたかな策士です。
夫の謝罪の言葉を純粋に受け止めた私が本当の解決のために言葉を重ねようとすると、急に顔色が変わりきつく睨みつけてきたり、「何?まだなんか言うつもり?」と凄んできました。
これが夫の本音です。
物事の本質を知りたい
もつれを解きたい
夫と良い夫婦でいたい
私は夫婦の問題が起こるたび、できるだけ夫との間はあたたかくクリアな状態でいたいと思ってきましたが、夫の求めるものは全くちがいました。
物事の真意はどうでもいい
妻の心はもっとどうでもいい
ただ、俺が満たされていること
それだけです。
なので、
『謝らない』ことは、見られたくない知られたくないもろい自分を強固に守り固め、異常に高い自尊心を保ち、歪んだ自己愛を満たすために大事な手段。
頭を下げたら、死ぬ
きっと、非を認めて謝罪することは
夫にとっては自分の存在意義の生死を意識するくらい恐ろしいことだったのではないか、と思います。