妻、やめます。

モラハラ夫と過ごした日々の回想録

自分がないモラハラ夫~偽りの信念と歪んだ自己愛

〝信念の強い夫〟は妻の幻想

 

〝夫は強い信念を持つ人〟


私はそう思っていました。


しかし、それは私のおおきな勘違い。


幻想でした。


偽りの信念。

その中にあるのは、モラハラ夫の歪んだ自己愛。


今回は、モラハラ夫の『自分がない』実態のおはなしです。

 

妻の思い違い


夫は、とても信念の強い人だと思っていました。

  • 家族に反対されても、私との結婚を諦めなかったこと

  • 環境の厳しい〝教員〟という職業に誇りをもって取り組んでいたこと

  • 家族・家庭の将来像をはっきり言葉にしていたこと

結婚前の夫の語ることやその佇まいには浮ついたものがなく、自分で主体的に道を歩む風格のようなものを感じました。


私はそんな夫を尊敬し、安心していました。


ところが少しずつその風格にほころびが見え隠れするようになり、結婚後にはまったく別の顔となってしまいました。


モラハラ加害者の特徴のひとつである内外の極端な二面性を有する夫が、結婚前の私に対して〝すばらしい人〟を演じた外面を見せていたということはだいぶ後から知ったことです。


何も知らずに夫の真逆の人格を目の当たりにしながら結婚生活を続けていた私は、ショックと疑問でいっぱいでした。


主張や意見は発するけど
何かが違う
何かが足りない


うまく言えないけれど、夫の言葉には幅や奥行きを感じられないのです。


完膚なきまでに心を潰してくる夫は恐ろしいけれど、その言葉も態度もただ駄々をこねたりわざと困らせて気を引く子どものように感じることが多々ありました。
 

夫とのやりとりにある違和感と法則


 普通の会話も口論もいつも的を得ず、心の通わない交流と何につけ建設的に話し合うことを拒絶されることへの苦悩に苛まれ続けました。

 

無視・無言

もしくは

高圧的な態度や怒声


あまりにも極端であり、落ち着いて意見を出して話し合うことはできませんでした。

 

自分の意見を言わない

今思っていることを教えて欲しいと言っても絶対に言わない。
それでも、お願いすると

「寝かせて下さい」

「しょうもないあなたに答える価値はない」

「あなたのお願いになんで俺が答えなきゃいけないの」

と頑なに拒絶し、私の心を逆撫でするようなことを言う。

 

責任転嫁する

「あなたが〇〇って言ったからやってやったのに」

「ムギコがいいと思ったらそれでいい」

「俺は何も言ってないよね」

後になって不都合があると人のせいにしたり、大事な判断のためにお互いに話し合うことを拒絶して私に決めさせようとする。


揚げ足を取る

私の言葉の言いまちがいや記憶ちがいを執拗に責める。
言い直したり、謝罪をして話を戻そうとしてもしつこく、さらに謝罪を要求したり、話と関係のない細かなことを問うてくる。


平気で嘘をつく

言った言わない
したしてない

日々の些細なことから、大きな出来事まで

明らかな嘘も顔色一つ変えずに言い放ち、悪びれることがない。


言うことがすぐ変わり一貫性がない

その場しのぎの言い訳がとても多い。

あとで辻褄が合わず、追及するとキレて何も言わせなくする。


強引な屁理屈

私が発言しているのに、まったくこちらに意識がない様子だったりするときに「聞いてる?」と問うと「聞いてるよっ」と怒って返す夫。

私は当然、相手の話を聞いて、そこからのコミュニケーションがあるものとして訊ねているが、それに対して夫は「ちゃんと聞いてます。聞けばいいんでしょ。聞いたから。聞いたのに、俺はまだ何かしなきゃいけないの」などのようなことを言う。

夫は頭の回転が速く、悪知恵も働くので
屁理屈が酷かったです。


共感ができない

夫は人の心を汲んだり、寄り添うことができません。

「てめえの気もちくらいてめえでどうにかしろ」

「あなたがどう思おうと興味ない」

「そう思うあなたがおかしい。俺は悪くない」

私はこう思う、気もちはこうだ、と伝えても、絶対に受け止めることがありませんでした。


まるで無理問答のような夫とのやりとり。

どうしてこうなってしまうのか。



夫とのやりとりには特徴があることが分かりました。


それは、

夫が頑なに〝自身の本心を自身の言葉で表現しない〟ということです。



食べたい・寝たい、あるいは、〇〇したくないなどの本能的な欲求

ほしい・行きたいなど、好きなことや娯楽を通して満たす欲求

あとは、他人の悪口や不平不満、攻撃。

これらについては例外であり、
素直に心中を吐露するにとどまらず、制限を設けずかなり貪欲に追求していました。

 

しかし、

それ以外の大半のこと興味のないことには異常なほどに拒絶の反応を示しました。


自分の考えや思いがない
自分の言葉で話すことができない



夫には、自らの思いと言葉で物事を前に進めていこうという意思がまったく感じられませんでした。

『自分がない』夫


自分の考えや思いがない
自分の言葉で話すことができない


つまり、夫は
自ら思考するということを放棄していたのではないか。


思考しないということは、

自分がない
信念がない


夫の中には確固たる価値観が存在しないのです。



では、夫は何に突き動かされて言動・行動をなしているかというと、それは、歪んだ自己愛だと思われます。


モラハラ加害者には自己愛性パーソナリティー障害である人も多いそうですが、夫にもそのような傾向が見られました。


自分は特別にすぐれた存在であり
周りから称賛されるべき

自分は善良であり
悪意は他者にある


正常な自己愛は
ありのままの自己を認め受け入れることができ、自己も他者も愛し尊重することができる。

しかし、歪んだ自己愛は
自己の未熟さや欠点などを直視できず、理想的に作り上げた自己像を自身だと思い込み、常に優越感を得、高い自尊心とプライド保つために被害者となる他者を平気で傷つけ貶める。


夫の物事の判断基準は

有利か不利か
勝ちか負けか
損か得か
上か下か


夫にとって大切なのは目の前の問題を正しく解決することではなく、他者との良好な関係を保つことでもなく、ただ、虚像の自己を保ち自身が優位に立ち、歪んだ自己愛を満たすこと。


そこに本当の自分はいません。

思考の余地はありません。

夫には『自分がない』のです。

 

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歪んだ自己愛の根深さ


自省しない

非を認めない

自己本位

無責任

薄情


どれもその程度が異常であり、絶望の域に達していました。


歪んだ自己愛に支配され、自分がない夫が生きていくためには、どれか一つでも認めてしまうことは致命傷だったのだと思います。


認めてしまったら、作り上げた偉大な自己像が破れ、自尊心もプライドも保つことができません。


自分本位な欲求の追求
つよい自己顕示欲の誇示
つよい劣等感の払拭


私が夫の信念だと思い込んでいたものも、

それは夫の欲求への異常な執着であり、健全な人としての精神から生まれたものではありませんでした。


道理を外れても良識を欠いても、夫は歪んだ自己愛を優先するのです。


真の愛情やあたたかい思いやり
家庭を持つということ
人生をともにするということ


夫に理解してほしい
夫と共有したい

そう心から願い、何度も何度も傷を増やしながら夫の心に訴えました。

しかし、

『自分がない』夫にとって歪んだ自己愛を満たすための道具に過ぎない私が、夫と心でつながることなど到底不可能だったのです。

 

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