〝立派な長男〟を演じるモラハラ夫
前回【夫の実家で感じるモヤモヤのはなし~夫の家族編~】を書きました。
今回は<モラハラ夫編>です。
〝いつものモラハラ夫〟
〝かわいい跡取り息子〟
真っ向から異なるふたつの顔。
この卑劣な二面性を駆使するモラハラ夫と妻の苦悩のおはなしです。
夫は長男。跡取り息子。
夫の家族は祖父母と両親、弟がいます。
(弟さん一家は実家と同じ県内に住んでいます)
祖父母と定年退職した父親が農業に従事し、母親は専業主婦でした。
↓夫の実家についてはこちらに記載があります
nanairo-r.hatenablog.com
夫は長男。
特に家業があるわけではないのですが、家を継ぐ使命がありました。
夫とおつきあいする前、
家を継がなきゃいけないという話を聞いたとき、純粋に質問したことがありました。
「どうして家を継がなきゃいけないの?」
「長男だから」
「自分の好きな場所に住めないの?」
「まぁ、長男だからね」
〝長男だから、、、かぁ〟
分かるような分からないような。
まだそういうしきたりって根強いのだな、と思いました。
結婚すると、なぜか夫は私が〝実家〟についての話題を振ると分かりやすく威圧的になったり、ピリピリした空気をもたらして嫌悪を示すようになりました。
いずれ夫の実家での同居が決まっていた私たち。
近い将来のことなので、
私は、ふたりきりの生活のうちにいろいろ話したかったのです。
しかし
いつも話はスムースにいかず、夫の嫌な態度や言動に私も反応してしまい、この話題からけんかになることもありました。
何を聞いても「長男だから」の一点張り。
私は、これからの生活に対する夫の気持ちやビジョンが聞きたい。
上手く言えなくてもいい。
立派な答えじゃなくていい。
〈今〉〈夫〉が思っていることを
〈夫の言葉〉で
というのを求めていました。
「私たち、将来どんな生活になるのかな」
「わかんない」
「なんでそんな話しなきゃいけないの」
終了。
まともな答えが返ってきません。
「これから、ふたりでこうしていきたいとかない?」
「別に。しあわせに暮らせばいいんじゃないの(怒)」
終了。
なんで平和な話題が、こんなにけんか腰なのか。。。
訳が分かりませんでした。
家、お金、生活、将来など
人生を歩む上で
自然と目の前に現れるテーマ。
いつだって、たくさん悩んで考えて
いくつもの選択や決断を繰り返して自分の道を作ってきました。
夫の場合。
結婚生活を営むということへの意識が著しく低く、このような現実的な話がまったくできませんでした。
少しでもそれらの話題に触れると
不機嫌を露わにし、頑なに口も心も閉ざしました。
30代半ばの既婚男性が、
現実的な事柄にあまりにも無知で無関心。
また、自分の将来のことなのに、
いつも他人事で何も考えていない。
最終的には
人任せ、そして責任転嫁。
ただ普通の結婚生活を、と思うけど、私がおかしいのだろうか。
自問自答の答えも見つからず、苦しみました。
夫と離れた今になって
何となく夫の浮世離れな傾向の理由がわかるような気がしました。
それは夫が
箱の中の跡取り息子だということ。
勝手な推測、妄想かもしれませんが、
夫は自分で考えなくても、
周りが生きるのに必要な物質も知恵もすべて用意してくれている。
家族の目の届く範囲内で、〝長男〟という役割を従順にこなすことが人生の正解と仕込まれ続けた結果、ある種〝長男に狂信的〟な今の夫の姿になったのではないか。
夫は
跡を継ぐことに自身の意志も心もない。
生活も将来も、自分で考えることができない。
このように考えると、
夫と夫家族について、私が何となく感じる不可解な点と線がつながる気がします。
ひとりの人としての人格・個性は無視されているような夫。
夫は夫で
家族の見えないプレッシャーによる被害者なのかもしれません。
〝いい子〟を演じるモラハラ夫
実家での夫は
おとなしい
気が弱い
やさしい
不器用
純朴でとてもいい子を演じていました。
義母はよく私に
「イチオは気が弱いとこがあるからごめんねぇ」
「イチオは不器用で言葉が足りなくて、、」
「あの子は言いたいことが言えないとこがあるから」
と、夫をフォローしていました。
〝大人しくて〟〝不器用な〟息子だと思っている家族は、夫が積極的に私にアプローチし、妊娠させ、結婚したいと言うなんてあり得ないと思うのも当然かもしれない、と妙に納得してしまいました。
だから、
夫の家族は私のことをを一方的に悪者にし
〝純朴な息子をたぶらかした東京の年上女〟
と、決めつけたのだ。
夫の〝いい子ぶり〟がどのようなものであったか、具体的にあげていきます。
何を言われても、無抵抗
夫は家族から否定的なことや小言を言われても表情一つ変えず、大人しく黙っていました。
例えば、義母から車の運転へのダメ出し
「曲がるの早い」
「止まるの急」
「右より過ぎ」
とにかく細かいのです。
日頃ちょっとしたことでも不機嫌になり、モラハラを発動する夫。
私が義母と同じことをしたら、大変なことになっていたはず。
また、
帰省中、外出する際に義父に車を借りたいとき。
「お父さんの車借りてもいい?」
と、蚊の鳴くような小さく弱々しい声で夫。
義父から「混んでるからやめなさい」などと、あっさり断られることが何度かありました。
夫「・・・」
夫は何も言わず断念。
夫の方から、車借りて出かけよう!と意気揚々と宣言していたのですが、断られた途端、私に向かって威圧的に〝そういうことだから〟と言わんばかりの態度です。
さらに、
祖母から「暑いからこれもっていきなさい」と強引に帽子を被せられた夫。
蛍光イエローのド派手なキャップ。
てっぺんのボタンみたいなのが無くなっていて針が飛び出ているし、訳の分からないロゴが付いている。
お世辞にもおしゃれとは言えない帽子。
しかも、
夫はそもそも帽子が大きらい!
なのに。。。
夫は一言も文句をいいませんでした。
ちなみにその後、
夫は帽子を黙って私に預けました(押しつけました)。
隠れてゲーム三昧
夫はゲーム依存でした。
平日は帰宅から深夜まで。
休日は起床から深夜まで。
※夫の異常なゲーム生活と妻の苦悩と葛藤について、またいつかおはなしいたします。
ちょうど毎年、帰省するお盆やお正月はゲーム内の大きなイベントが開催されます。
夫はゲーム内の報酬と名誉を得るためにお金と時間をつぎ込み、躍起になって上位を狙うのです。
仕事を犠牲にするほど心身をゲームに注いでいた夫ですが、実家では絶対に家族の前でゲームをしませんでした。
まだそこまではまり方がひどくなかった頃、私は夫が楽しめるもの、疲れを癒せるものがあるのは良いことだと思っていたので、義母に軽い近況話のつもりで
「最近イチオさんは〇〇のゲームを始めたんですよ」
と話し出したのですが、
すぐに夫が私を制止し話を逸らしました。
一瞬、私を見た時の夫の目つき。
本当に怖かったです。
私は空気を察して夫に話を合わせ、
その後は一度もゲームのことを話したことはありません。
夫は帰省中、こそこそ私を呼んで部屋にこもりました。
なぜ私を呼ぶかというと、
夫のゲームアプリは私のスマホにダウンロードされていたからです。
(夫は、スマホを開く〝私の指〟が必要なのです 泣)
夫婦の部屋では、さっきまでのいい息子が一転。
通常運転のモラハラ夫の顔に戻ります。
日頃、ゲームを邪魔されるとキレる夫。
〝俺の時間を侵害された〟などと悪態をつき、自身を正当化します。
そんな夫が夫家族にゲームしていることを隠すのは矛盾しています。
もし、夫の家族にゲームを非難されたなら、いつもみたいに〝俺〟の正当性を強く主張すればいいのに、と思ってました。
妻を保身の道具にするモラハラ夫
外では〝ものすごい愛妻家〟を装う夫ですが、家族の前ではものすごくよそよそしくて冷たいです。
家族の会話の流れで、
夫の方を向き「ね?」「〇〇だね?」と同意を得ようとしても無視。
遠くにあるおかずを「取ろうか?」と聞くと、怖い顔をして小さく低い声で「いい」とだけ。
ものすごく嫌そうに身体を背けて拒否してきます。
他の親戚が私たち夫婦について質問してくれても、エピソードを一つも話しません。
夫の弟さんは奥さんやお子さんのことを面白おかしく話したりして、みんなが盛り上がるような空気を作ってくれます。
私もそういう時は一緒に大声で笑ったりできて楽しいのですが、夫は私の存在はなきものとしてそこにいました。
いつもは人前でも、手をつないだりスキンシップがあるような夫ですが、実家では絶対にあり得ません。
※私の両親に会うときは、待ち合わせで両親の姿が見えると、つないだ手をさらにぎゅっと強く握り直したり、肩や腰に手を回してエスコートしたりします。
夫は家族の目がある場所では、ものすごく非情で意地悪。
私は蔑ろにされてきました。
なぜ、実家では愛妻家を装わないのか?
愛妻家である姿を見せれば、
より周りからの評価が上がって、夫にとっては良いことのはずなのに。
ここでまた、私の勝手な推察ですが、
夫の家族の前では
〝夫婦円満〟〝妻を愛すること〟は不正解
だったのだと思います。
〝東京からきたよそ者〟
〝長男をたぶらかした年上妻〟
息子の望みを受け入れて結婚を許したものの、心の奥ではこのような本音が渦巻いていることが夫家族の言動・態度から分かりやすく伝わってきました。
夫もそれが分かっていたため、
私を邪険にすることで家族の心を満たしていたのではないか
と考えました。
「必ずムギコと家族の橋渡しになる」
と言ってくれた夫から裏切られるのは、本当に苦しいことでした。
どこにも心を寄せられず、
孤独感・虚無感に苛まれ続けました。
とにかく自分がかわいいモラハラ夫
今まで、家族の手厚い擁護の中にあり、
将来実家を継ぐには、家族へ依存しなければ生きられない夫。
実家家族の中で
自分が【得】であるために
自分を【保身】するために
夫はなりふり構わず、妻の存在を犠牲にしてきました。
夫にとっては自分に都合よく動いてくれる道具に過ぎない妻。
夫の実家での同居がはじまったら、
私はただ消耗されるだけの道具として扱われて生きていくのだと思うと、ものすごい焦りと不安に駆られました。
それまでに
夫と強固な信頼関係を築き
心の通う夫婦にならなければ、
と、ひとり悩み苦しみ、
必死に夫に明るく前向きな声をかけ続け、あたたかい心を寄せていく努力をしましたが、それが報われることはありませんでした。