妻、やめます。

モラハラ夫と過ごした日々の回想録

モラハラ夫と別居から2年〜被害者妻の現在地

モラハラ被害者妻の人生の危機と新しい人生への転機


モラハラ夫と暮らす家を飛び出して2年が経ちました。


私は今現在もまだ夫と離婚には至っておらず
実家で別居生活を続けています。


これまでの日々を振り返ると


とてもあっという間で
光のように2つも歳を重ねてしまった


と思うのと同時に


前に進むために

悩んだり考えたり
つまずいては勇気を振り絞る

そんなひとつひとつを積み重ねながらの道のりはとても長かった


とも思います。


今回は

モラハラ夫と別居後の被害者妻
別居生活の2年間を振り返りたいと思います。

人生設計が白紙になった妻


別居して間もない頃は


〝すぐにでも離婚したい〟

〝早く新しい人生をスタートしなければ〟


など、かなり自分を追い詰めて前のめりな状態でした。


夫のモラハラで傷んだ心と身体
緊張と恐怖でまとまらない思考


満身創痍で無防備な自分を無理に奮い立たせ、現状を打ち破ろうとしていました。



ほんの少し前までの私はどんなに夫のモラハラや夫婦間の苦悩に見舞われていても、前向きに思い描く私の目標や希望の中には必ず夫の存在がありました。


どうしたらお互いにしあわせになれるのか
2人のよりよい未来のために何をしたらよいのか


〝夫の妻〟という立場であらゆる物事を考え、動いていました。


離婚や離婚のその先について
思いを巡らせることなどなかった私にとって


すべてを捨ててゼロから生きる基盤や方向を組み直すという作業は明るい希望にあふれている反面、見えないプレッシャーに押しつぶされそうな恐怖や不安も多く伴いました。



モラハラ夫の元を離れ、
新たな混乱と困惑・不安や恐怖に一度陥ってからの2年間



私は未知なる世界の人や物に支えられ、一進一退を繰り返しながら少しずつ前に進んできました。


ここからは私がこの2年の間に経験・体験したこと、変化したことを簡単ではありますがご紹介したいと思います。

壊れた心と身体を取り戻す

心療内科

心療内科は別居する少し前に初めて受診しました。

身体の各所の痛みや痺れ
動悸
震え
めまいと吐き気
じんましん

など・・

次々に謎の不具合に襲われましたが、病院で検査を受けても原因不明。

感情も不安定で何もなくても急に涙が止まらなくなったり、常に不安や緊張・恐怖に支配されていました。


そしてとある日の昼間。

発作のような激しい異変が起こり、
限界と危険を感じた私は思い切って心療内科の予約を入れました。


そこは、以前中絶や流産の際にお世話になった産婦人科医院の中にあり、少しでも慣れている場所が良いと思って選びました。

 

www.nanairo-r.com

 

最初は睡眠薬と安定剤、症状に合わせた漢方が処方されました。

 

しばらくの間、食欲は失せ

身体が重だるくて思い通りに動けず
布団に雑に横たわるとそのまま体勢を整えずに眠りに落ち、

心も不安定で
感情の震えが過ぎ去るのを固くうずくまって凌いだり、意識のない眠りの中でしか真の安息がないような状態でした。


今も通院は続いていますが、

緊張や不安・恐怖からくる心身の不調はほとんどなくなり、たまに負の波が来てものまれてしまうことはなく、自分で対処できるようになりました。

女性センターの暴力相談

女性センターの暴力相談は心療内科の先生から勧められ、定期的に半年ほど通いました。



丁寧であたたかい受容と共感

そして

〝暴力〟の正しい知識と新しい認識の教示

離婚や調停に必要な情報提供とアドバイス


これまで、どんなに考えても悩んでも自分を追い詰めても答えが分からず、もがき続けたひどい惨状の正体を知ることができました。



相談員さんとの面談では
思考の押し付けや強制はありません。


自分で暴力を理解し、納得しながらモラハラによって歪められていた自身の思考や感情の自覚と修正を重ね、薄皮を剥がすようにささやかな歩みではありましたが本当の自分に近づいていく感じがしました。


心療内科も暴力相談も未知な世界であり、最初は何となくハードルが高いように思われてとても不安でした。


しかし、
いずれもとても丁寧に対応していただき


心身の傷みの存在をしっかり受け止めてもらえたことで大きく救われ、心身を癒し、立て直していくために重要な安心・安全の場となりました。

 

その先の自分のために知る・得る・蓄える


心療内科と暴力相談に通い、少しずつ心身が落ち着いてくると自然と〝その先のこと〟を落ち着いて具体的に考えられるようになり、暴力相談でのアドバイスやヒントを元に動き始めました。


〝モラハラ夫との離婚〟
〝モラハラ夫との調停〟


これらを知るために私は以下のようなものを利用しました。


自治体や女性センターが開催している
暴力被害者に向けた各種講習会


自治体の無料法律相談


法テラスを利用した法律相談


モラハラについて書かれた専門書


DVやモラハラをテーマにしたwebサイト



得た知識や情報・与えられたアドバイスなどを自分の現状や心境と重ねつつ、できる準備からコツコツはじめました。


この時の私は、

日々〝何か目的を作って達成する〟ということの積み重ねで自分を保っていました。


自分のために知る・得る・蓄える

そのために

身体を動かす・心を動かす・頭を使う


どんな小さなことでも〝自分の心と身体でできた〟〝自分の力でちょっと前に進んだ〟という感覚がとても大事だったのです。

自分のため、誰かのための新しい一歩


離婚に向けて動き続けていましたが

自身の中でまだ不安要素の多い現状を冷静に見つめ、また専門的・客観的な視点での心療内科や法律相談などからのアドバイスを熟慮し、しばらく別居生活を続けていきながら今後の自分のための基盤を固めて行くことにしました。



〝自分の基盤を固める〟



このことを考えたとき
既に私の心には少し意識していることがありました。



それは


いつか、私も
モラハラなどの暴力に苦しむ人の力になりたい



ということでした。



受容と共感
暴力についての知識や情報の提供など

被害者支援に触れるうちに

自分の心が救われ、
変わっていくのを実感できたり


加害者と被害者、それぞれの心理
両者を生む環境や心のメカニズムなど

モラハラについて知れば知るほど

私も、モラハラやDVの被害者が前向きで自分らしく、安心に満ちた日々を送れるようなお手伝いがしたいと考えるようになっていたのです。


〝いつか力になりたい〟


私は、その〝いつか〟のために今だからできることは何だろうと考え、勇気を出して動き始めました。

カウンセリングの学校

まずはカウンセリングの学校に通いました。

傾聴の方法などカウンセリングの基礎的なことからさまざまな心理に関わる知識を学ぶことができました。

通うたびに新しい気づきや発見があり、それらは心にいろんな形や色の刺激を与えてくれました。

モラハラ夫とその妻の体験ブログ

カウンセリングの学校に行くことを決めた頃、このブログを立ち上げました。

 

独りよがりかもしれない。
でも、とにかく何か始めよう。

自分の体験や経験をただの辛い過去として葬ってしまうのではなく、発信することで遠回しにでも誰かに気づきをもたらしたり反面教師として力になれるかもしれないと考えたのです。


誰かのために、と始めたブログですが

モラハラ夫との過去を言葉にしていく作業は自分の心を整理できたり、以前はモラハラ夫の言動や行動に振り回されていた感情も少しずつ客観的に捉えられるようになり、実は誰よりも私のためになっています。

 

DV被害者支援のための講座

『NPO法人女性ネットSaya-Saya』という暴力被害者の相談や支援、その他被害女性や子どものためのさまざまなプログラムを行っている団体があります。


カウンセリングの学校が終了した後、

この女性ネットSaya-Sayaが主催する支援する人に向けた講座に参加しました。



  • DV被害支援者養成講座

これはDV支援先進国のアメリカ・オレゴン州で使用されているマニュアルを使用して専門的にDVなどの暴力の問題や支援者のあり方などを学び、自身の暴力被害の実体験を生かしながら被害者支援をできるようにしていく講座です。

  • びーらぶインストラクター養成講座

びーらぶというのは「DV被害を受けた女性とその子どもたちに対する同時並行心理教育プログラム」のことです。

これは暴力被害を受けた女性や子どもたちが暴力によって傷ついたり損なわれてしまった心を回復していけるように親子同時並行で行っていくプログラムです。
この講座ではプログラムの実施を通して被害者支援をしていくインストラクターを養成します。



いずれの講座も〝暴力について〟〝暴力がもたらすもの〟を体系的に学び、支援者として必要な知識や技術を得られただけでなく、今も暴力被害の当事者である私にとってはその学び自体が自身への〝支援〟〝応援〟となって救われる部分が多くありました。

本当の自分を知る作業


モラハラや心理などのあらゆる学びや
自分の心身と向かい合う時間は

私の心に光をもたらすだけでなく

心の深い場所にあった闇との対峙を余儀なくされました。


幼少期から精神的にハードな家庭環境にいた私。


生きるため、安心できる場所・親の愛情を求めて無意識のうちに身につけた歪んだ価値観や思考がいつのまにか自分に理不尽な暴力を受け入れる役割を与えていたという現実を突きつけられました。


現在も続く家・家族の呪縛、与えられた役割。

 

モラハラ夫と離れたとしても

今、私自身が変わらなくては
きっとまた同じような苦悩を抱え続けてしまう。


親や家を変えることはできません。

長い間培ってきた自分自身。
40歳を過ぎてからそれに抗い再び生まれ直すような作業は正直言うととてもしんどいです。


でも、自分の中に芽生えた〝本当の自分を取り戻すため〟の感情・思考の変化を素直に受け止め、大切にしながら行動にしていきたいと思っています。

 

www.nanairo-r.com

人生の危機から救いの転機へ


夫との結婚生活がまさかモラハラという暴力で壊れるなんて…本当に絶望しました。


しかし、こうしてモラハラを知ったことで

私は新しい世界を見ることができ、本当の自分と向き合うことができました。


小さな前進の積み重ねで少しずつ自信も持てるようになった。


誰かを頼ること
自分を素直に表現すること

自分を守ることも

すべてが〝悪〟ではないとわかった。



モラハラ被害者となったことで心身を損ない、それから大きな方向転換を余儀なくされました。

でも、この2年間は私の人生が続いていくためには必然だったのだと思うと、これはただの危機ではなく、真に救われるための転機だったと受け止めることができます。


とはいえ、まだ何も進んでいないし
何も決まっていない

社会的にも何者でもなく

もちろん不安や心配は尽きません。


夫との子どもを失った罪悪感や悲しみは
今もあの頃のまま。

時にモラハラに傷ついた心が疼き
胸をしめつける夫の言葉や空気がよみがえることもあります。



暴力相談の相談員さんが

「もしかしたら本当に傷が癒えるのに5年も10年もかかってしまうかもしれない」

というようなことをおっしゃってました。

それくらいモラハラやDVによる暴力は罪深いものだということです。



拭いきれない過去の苦悩や
前に進む上での葛藤

これらを携えていくことの重さを思うと
つらくなったりしますが

なるべく明るい希望や目標に変えていきたいと思います。

被害者は孤独じゃない


もし、今モラハラに苦しんでいる人や
そのような人を身近で見ている人がいたら


ひとりで抱えず

家族や友人、相談窓口などに助けを求めて欲しいと思います。


行政の暴力相談

暴力被害者の支援団体

心療内科やカウンセリング


声をかければ
手を伸ばせば

支援の扉が開き、
安心・安全の場へと導いてくれると思います。


私のブログを読んでくれる人がいるということはそれだけモラハラに苦しんでいる人がいるということなんだな、と思うととても胸が痛みます。

少しでもモラハラ被害が小さく少なくなるように願いながら、これからもブログを続けようと思います。



そして、いつかどこかで

私も支援の輪に加われるように

私のために誰かのために学びを重ねていこうと思います。