妻、やめます。

モラハラ夫と過ごした日々の回想録

子どもができないのはおまえのせい〜妻を壊したモラハラ夫と壊れた妻

〝子どもができない〟妻の傷と苦悩も支配の道具にするモラハラ夫


私と夫の間にはこの世に生を与えてあげられなかったふたつの命がありました。


ひとりは結婚前に中絶
もうひとりは結婚してから流産


※中絶と流産の経緯については過去の記事に書いています。もしよろしければ、こちら↓もご覧ください。

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夫は子どもがほしいと言う

私も変わらず同じ思いでした。


傷も悲しみも後悔も乗り越えたい
夫とふたりで希望をかなえたい。



でも、思いはいつも空回り。



生理は毎月やってきて、毎月ゼロから築き直した希望を呆気なくさらって流れていきました。


なるべく明るく報告するも、言葉も表情もほぼ〝無〟な夫。


行き場を失った言葉
空をさまよう精一杯のやせ我慢

夫の心に不快をもたらす塵となる前に慌ててかき集め、手際よく回収しました。



深入りしないのは、夫なりの不器用な優しさかもしれない。


そう信じたい。



でも、

日常に散らばる不可解で無秩序な言動や態度、それらが発する冷たさや攻撃性が私に伝えるメッセージは何かちがう。


やはりあの〝無〟は優しさではなく、私への何かしらの〝否定と拒絶〟なのだろう…


そう考えるのが自然なように思われました。



もし、このまま子どもができなかったら…

夫の希望をかなえられず
嫁としての役割も果たせないままだったら…


いずれ〝妻として用無し〟の烙印を押されてしまうかもしれない。



募る不安と深まる孤独、のし掛かる重圧



本当は悲しい、つらい、苦しい


本当の私を

温かく受け止めてほしい
優しく寄り添ってほしい


心の手を伸ばしても乱暴に払われるばかり...その度に傷と混乱を深めました。


今回は、子どもができない妻の傷と苦悩を知りながらモラハラを重ねる夫、心を壊す夫と壊れた妻、お互いに〝心をなくした〟夫婦のおはなしです。


妻を壊した夫と壊れた妻


無視やため息、冷たい目つきなど

〝空気〟で追い詰めるサイレントモラハラ


素直な感情や思い
夫の心無い言動や行動への疑問
日常生活で生じる相談事やお願い

夫は私から発するものに対し端から威圧的な構えを露わにし、何をどう伝えようとしても強引に言葉を遮りました。


「そう感じるお前が悪い」

「あなたは頭がおかしい」


穏やかに話を続けようとしても次第に殺気立ち、最後はサイレントを破り捨てて豹変。

何がなんだか分からないうちに目も耳も捨てたくなるような惨状に陥り、私は思考も感情もボロボロに・・・

これがいつものパターン。


特に〝子ども〟を使ったモラハラは、私にとって何よりも辛く大きなダメージでした。



夫の言葉に反発したり、夫に伝わるようにと必死に訴えると



「あなたがそんなだから子どもができないんじゃないの?」



「できたところであなたみたいな母親じゃ子どもがかわいそうだけどね」


「ね、結局こうなるんだから(中絶して子どもが)いなくてよかっただろ?俺たちが言ってたことが正解だよ」



などなど。
次々と繰り出される言葉。

この〝俺たちが言ってたこと〟というのは、私が結婚前に妊娠したとき、夫の家族が「将来離婚したら子どもがかわいそうだから堕ろせ」と夫に中絶させるよう説得していた経緯のことを指します。


それまでの話にまったく関係なく唐突に持ち出される〝子ども〟キーワード。


ちょっと嘲るような態度と嫌味の応酬。

急に弱く脆いところを抉られ、あふれる感情のままに涙を流し悲痛を訴える妻。


そんな妻を見る夫の表情は微動だにせず
たっぷりと侮蔑を湛えた視線で私を捉えたまま。


「いつまでそれ言うの?」


「何?俺たちのこと悪者にしたいの?」


「そんなこと言ってたら俺の親といつまで経っても仲良くなれないよ」


「あなただって共犯でしょ」


さらに追い討ちをかける冷たい言葉。



私の心は崩壊、理性が飛びました。



「ひ◯ごろし!!」



人として一線を超えた悍ましい言葉。

叫んだ瞬間、すぐに激しい後悔と罪悪感に襲われました。


「ごめんなさい、ごめんなさい」


謝っても、当然許されるはずがありません。


私の言葉をかき分け、全身に怒りを漲らせた夫の赤黒い顔が迫りました。



「てめぇ、今の言葉覚えとけよ、許さねぇからな」



激しく轟く怒声
見開かれて剝き出しになった鋭い眼光


夫、そして自分への恐怖で身も心もバラバラになりそうな感覚を覚えながら、私はただ謝ることしかできませんでした。



「どうせ今までも俺たちのこと恨んでたんだろ」


「おまえの親たちも俺たちのこと〝ひ◯ごろし〟だって話してたんだろ」



〝それはちがう!絶対ちがう!!〟


恨んだことなんてない
そんな話をしたこともない

ひとつひとつ否定し夫の誤解を解こうとするも、すべて払われ何も届きません。



「俺は子どもができないことを責めないでやってるのに。そういう優しさを理解してほしいよね」


「俺、悪いことしてないよね」


「仕事して、真面目にやってきてああいうこと言われるって悲しいよね」



〝家族の悪口を言われた〟

〝心をひどく傷つけられた〟


激しい怒声から一転、今度は私への非難と被害の悲しみを訴える夫。


気のせいかもしれませんが、後から思うと、私が立ち直れないような酷い状況での夫は何かが憑依したような奇妙な印象があります。
心痛を口にしながらもなぜか妙に嬉々とした表情を浮かべていたり、やたら饒舌で不自然に演技がかった振る舞いや、セリフのような言い回しをするようなことも度々ありました。



その場ではとにかく、夫への恐怖と自責の念、自身でも認識していなかった恐ろしい一面を晒してしまったことへの衝撃と羞恥心でいっぱいになり、ただひたすら醜い謝罪を重ねることしかできない私。


それをゴミを見るような冷ややかな目で見下ろす夫。


「あなたが変わらないなら無理だね」

「本当にだめ、妻失格」



「もう終わり。離婚だよ」


そう、とどめを刺すと

何事もなかったようにテレビに視線を向け、或いは、荒々しく布団を頭からすっぽり被るといつもと変わらない寝息を立てました。

妻の傷も苦悩も支配の道具にするモラハラ夫

 

〝子ども〟を使ったモラハラは何度もありました。


〝子どもができないのはおまえのせい〟


そう夫が発信するメッセージ。


同じような内容
同じような言い回し

使い慣れた呪文のように淀みがありませんでした。

 

〝子ども〟を使えば、妻は勝手に傷ついて、勝手に自滅する



頭脳を使い理論的に相手を責めてコントロール・支配する【知能犯タイプ】だと思われる夫のモラハラ。そのことを踏まえると、夫は妻が傷つくと分かっていてあえて〝子ども〟を効果的な支配の道具としていたのだと思います。


『知能犯タイプのモラハラ』についてはこちらの記事↓にまとめました。

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過去を思い返すと、私の感情を激しく揺さぶる夫の言動の多くは〝私から夫に打ち明けた悩みや弱み〟そのものだったように思います。



〝子ども〟についての不安や拭えないトラウマは迷惑をかけないようになるべく隠して過ごしてきましたが、どうしようもなく夫に聞いてほしい、寄り添ってほしい時もありました。


夫にしか話せない。
夫だから話したい。

夫に信頼を寄せるからこそ、言葉にして伝えたいことはたくさんありました。



〝子どもができないのは私のせい〟




これはそもそも私の意識が生み出し、私が抱えていたものです。


中絶した子にまだ許されていないから
私たち夫婦が円満じゃないから
私がいたらない妻だから

私はそのような思考で自分を追い込んでいました。



傷と苦悩に埋もれたとき、私は夫の心・言葉を求めていましたが夫はいつも冷たい目をしたまま


「おまえの気もちに興味ない」
「ちょっと何言ってるか分からない」
「自分でどうにかしろ」


そのような言葉で私の声も心も突き放し、受け止めることはありませんでした。



おそらく夫は、私の言葉を心ではなく頭ではしっかりと把握し、いざという時のためにストックしていたのではないかと思います。


執拗な揚げ足取りも、責任転嫁も
恐怖や緊張を煽る悪口も侮辱も

その場の感情に任せた闇雲な攻撃ではない。


常に私の発する言葉に神経を過剰に研ぎ澄ませ、妻の〝傷と弱点、落ち度〟を握っているからできること。


夫を信頼し、心をさらけ出せば出すほど
夫はひたすらモラハラの道具として蓄え、強化していく。


夫のモラハラは、より確実により効率よくダメージを与えるための学習と計算によって成り立っていたのだと思われます。

支配と洗脳でつながる歪んだ夫婦関係


私が願っていたのは
ただお互いに心を持ち寄り、向き合うこと。

始まりはそれだけのこと。


でも、いつも夫が仕掛ける『逃げる・脅す・壊す』という決まったコースのゲームに囚われ、感情をかき乱されて自滅し、ひどい醜態をさらしては謝罪をくり返すという結末を辿りました。

 

夫を信じたい
夫の心に触れたい

私は夫婦をつなぐ信頼を探し求めるほどに自信を無くし、自分を見失っていきました。

妻として、人としても価値のない人間だと貶める思考が止まらなくなり、どうしようもない私が夫に見捨てられないようにとさらに不安と緊張、恐怖を募らせていきました。


「分かればいいんだ」


丁重な謝罪を重ねた後で夫にこういわれると、その時だけは何とも言えないような安心感と多幸感に浸りました。

そして、こんなダメな私を許し受け入れてくれる夫を〝大事にしなくては、幸せにしなくては〟と、心を何度も改め、夫に〝私が変わる〟と誓うのです。

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幸せにしようという前向きさと見捨てられないようにと必死な負の感情が同居する不安定な心を携えた妻と、それを利用して身勝手な自己愛欲求を満たす夫。


支配と洗脳


夫婦の形ではあるけれど、その実際はきつい主従関係と共依存。

私たちをつないでいたのは真の愛情ではなく、お互いにかなり歪んだ自己保身の化身のようなものだったように思います。



モラハラ夫は妻が正しいことを言っていても、純粋な思いに基づいた行為だとしても、それを認めたり受け入れるようなことはありません。

夫は常に損得や勝ち負け、自分が上か下かで物事を判断し〝俺が俺様〟でいられる状況を保つことしか興味がありません。


どちらかがこの関係を断ち切る、或いはそばにいても自分で境界を作って守ることをしなければ、自分にとっても夫婦にとっても家庭にとってもお互いに損ない続けるだけ。

そして、損なったことを責任転嫁する夫から理不尽な仕返しが上乗せさせる一方です。


今、夫と離れても、未だにあらゆる場面や感情がよみがえり、心が激しく疼き、嘆きと悲痛の中でもがき続けることがよくあります。



〝子ども〟のことや
私の中にあった醜く激しい衝動についても。


〝夫のモラハラ〟のせいにしても、すべての傷がふさがるわけではないことを痛感しています。



少しでも心身の傷を深めないように
いつまでも消えない後悔や傷みに溺れないように

私と同じようにモラハラによる支配と洗脳に縛られている方には、少しでも早く自分を守り、身も心も安心・安全を保てる場所を見つけてほしい。


家族、親戚、友人、病院、行政など
誰かに、何かに声をあげて、手を伸ばして助けを求めてほしいと心から思います。


逃げること
頼ること


一見後ろ向きなように感じますが、自分だけでなくお子さんや家族など、自分にとって大切な人やものを守るには、時によってはとても前向きで勇敢な手段だと思います。